愛 _Shion.T_ ページ30
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夏には北斗七星がしっかりと見えて
冬にはオリオン座が見える
自然が綺麗なこと以外何も取り柄がないようなこのど田舎が私の故郷
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18歳、高校卒業を機に故郷を離れて4年経った
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久々に故郷に帰ってきて
Aちゃんが帰ってきた、と家族が盛り上がり
親戚まで呼んで夕飯は盛大だ
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思い出したくなくても思い出すあの日のこと
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もう10時だからそろそろ解散で、と母の号令で親戚一同は私の家を後にする
『私もちょっと用事があるから』
と言い家を出て外に出る
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家から歩いて30分くらいの場所
そこが私の、一生の憎悪、墓場まで持って行かなければならない秘密が詰まった場所がある
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中学生のとき突如目の前に現れた
父の知り合いだとかいう30代半ばの人
こんな小さな故郷で生まれ育って何も知らない純粋な私は
学校終わりお菓子をくれて、何でもない日に私が欲しいと言ったものを買ってくれる
そのおじさんにすっかり懐いていた
「なんでそんな高いものを」
「またあの人のところに行っていたの?」
最初は母もおじさんに好印象だったけれど
エスカレートするプレゼントの値段や会う回数に少し疑心暗鬼になってきていた
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母の疑心暗鬼が私の確信に変わったのは
高校1年生の夏
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蒸し暑い日だった
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学校終わり、校門の前におじさんがいて
今日は暑いから車で家まで送っちゃる、と言ってくれたもんだから
長い付き合いを信頼して私は乗り込んだ
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乗り込んだのがいけなかった
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空が暗くなっても私の家に帰してくれることはなくて
おじさんの家でテレビを見て時間を潰していたとき
突然押し倒され、無理矢理キスされ
抗えない力に圧倒され、そのまま抱かれた
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それが私の初体験だった
いたくて苦しくて泣いて助けを求めても誰も来てくれはしなかった
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髪なんてボサボサのまま服もぐしゃぐしゃ
荷物すらままならないままに走って逃げた
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おじさんの家から私の家まで
歩いて30分くらい
そんな帰路を足取りをやめず走るには辛くて
途中にある公園のベンチで思い切り泣いた
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「...A?」
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名前を呼ばれ顔を上げると
そこにいたのは同じクラスの鶴房だった
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汐「何したん、そんな」
『...なんで今おると』
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こんな姿誰にも見られたくなかった
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リエ - お話全部全部大好きです!毎日読んでます!美大生さんのお話がまた読めるようになれば嬉しいです。これからもずっと応援してます!! (2021年8月26日 22時) (レス) id: 011c73e51d (このIDを非表示/違反報告)
みぺ - どのお話も長編で読みたいぐらいきゅんきゅんします!いつも楽しみです! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 58efb808d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハム | 作成日時:2021年6月30日 19時