雨 _Shosei.O_ ページ29
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20歳を超えれば
大人になれば
少し忘れられるんじゃないか、と期待していた
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高校1年生の4月
同じクラスの友達と部活何にしようか、なんて話しながら放課後見学に回っている時
ふと昇降口で見かけた君に一目惚れした
まだ肌寒い風に吹かれる君が
本当に美しく僕の目に映った
ふとすれ違った時にAから香った、ホワイトムスクの柔軟剤の香りにドキッとした
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昔からスクールでダンスを習っていたから
僕は部活には入らないことにしたけど
どうやらあの子はテニス部に入ったらしい
名前は、Aというらしい
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6月、放課後Aの教室へ行って
突然だけど連絡先を教えてほしい、と言った
困った顔をしていたけどすぐに笑って
私なんかでよければ、と教えてくれた
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7月、僕から告白して
まさかOKを貰った、嬉しくてもう死んでもいいとまで思った
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それから3年付き合って
地元のどこに行ってもAを思い出してしまうくらい色んな思い出を作った
祥生、と笑う顔がまだ鮮明だ
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僕はダンスをもっと極めるため卒業後上京した
Aは地元の大学への指定校推薦が決まっていたから
3年付き合った末に遠距離になった
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僕達なら何も無い、大丈夫
と本気で思っていた
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毎日連絡もとって時にはテレビ電話もして
環境は変わったけど僕の好きな人はAに揺るぎなかった
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ただ遠距離になってから8ヶ月くらい経った時
Aから、話がある、と連絡が来た
嫌な予感がした
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案の定、別れ話だった
不安にさせたならごめん、と謝ったが
どうやらAは同じ大学の男の子を好きになってしまったみたいだ
出会った時から諦めが悪いAのことだから
一度自分を信じると、考えを曲げない
だから、もう別れる他なかった
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別れて2年が経った今
Aが彼氏と別れた、との噂を聞いた
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もう戻れないから
何も期待はしていない
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ただ東京にいるはずがないのに
すれ違いざまホワイトムスクが香ると
未だにAを思い出し身体が固まってしまう
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最初から遠距離にならなければ
Aが辛い時にすぐ近くにいてあげれば
様々な後悔を巡って尚
僕はまだAしか好きでいられないんだ
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リエ - お話全部全部大好きです！毎日読んでます！美大生さんのお話がまた読めるようになれば嬉しいです。これからもずっと応援してます！！ (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 011c73e51d (このIDを非表示/違反報告)
みぺ - どのお話も長編で読みたいぐらいきゅんきゅんします！いつも楽しみです！ (2021年7月4日 0時) (レス) id: 58efb808d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハム | 作成日時：2021年6月30日 19時
