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手記参拾壱頁目 ページ33

母は出ていく際にまたごめんなさい、と一言だけ残して唯一この部屋から出られる扉に鍵をかけていった。





戸の取っ手を捻っても此方からは鍵が開けられないようになっているようで、捻る音が只管鳴るだけだった。





『……………』





本来の私ならば泣き叫んで扉に綴り続けていただろうが、今の何も考えられない私はただ扉を背に呆然と座り込むだけだった。





浴衣ははだけて、髪も崩れている。きっと泣いたから化粧も崩れて酷い顔をしているんだろう。





布団から掛け布団を取ってきては自分を包み込むようにして肩に掛ける。





泣き疲れたのか、この状況なのに不思議と眠りにつくのは早かった。





__________________





カチャリ。





背後の扉の鍵が開く音がして、意識が一気に覚醒した。





軋んだ音を立てて開く扉の向こうからは、眩しい程の朝の眩しい陽光と湯気の立つお盆を持ったお兄様が現れた。





お兄様は、私を悲しそうな目で見るとお盆を一度床に置いて私を優しくぎゅっと抱き締めた。





最近では跡継ぎとして稽古に忙しく、中々話す機会もなくて唯一日常でした会話といえば恋雪ちゃんの所へ行くのを強く止められる時、それだけだった。





けど、昔のお兄様は誰よりも優しい人だった。





そんな昔のお兄様が戻ってきてくれた気がして、抱き締められた体がほんのりと温かくなる。





「ごめんな……。A……。兄さんは、兄さんは……。」





私の肩に顔を埋めて嗚咽を零し、肩を震わせるお兄様に私はただただ肩を貸してやることしか出来なかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 猗窩座 , 狛治   
作品ジャンル:恋愛
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:主人公 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年11月9日 21時

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