手記参拾頁目 ページ32
久方振りの母の温もりに包まれて、私も父の前では堪えていた涙が堰を切ったようにとめどなく溢れていく。
『嫌です……。つい先程狛治さんと心を通わせあったばかりなのに……。会えない挙句に見知らぬ人の所へ嫁がせられるなんて……』
涙と共に狛治さんへの溢れる想いが零れる。
先程までは有頂天だったのに今は天から突き落とされたようだった。
母は私を力強く抱き締め、只管にごめんなさい、と謝っていた。
涙が枯れてしまい、何も考えられなくなった。
母は、そんな私に優しい言葉を掛けてくれるもどれも心に響かなかった。
「本当にごめんなさい……あの人には何も意見出来ないの……。私も、あの子も……。」
母は兄や母でさえ父には逆らえないこと、見合い相手も父の知り合いの息子さんで父が勝手に決めてしまった事を話した。
どれも、私にとってはどうでも良い話だった。
先程別れたばかりの狛治さんを思い出す。
私を綺麗だと褒めてくれた狛治さん。
人混みが苦手な私を気遣ってくれた狛治さん。
耳まで真っ赤に染めて恥ずかしそうにした狛治さん。
真剣な顔で、想いを伝えてくれた狛治さん。
頭の中で狛治さんとの短くも幸せだった思い出が走馬灯のように駆け巡る。
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狛「俺は何時までも貴女を想っています。」
『……!ふふ、私も今世は勿論、来世でもその先でも何時までも狛治さんだけを見て、愛しています。』
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交わした約束の言葉を忘れず、嫁いだとしても私は狛治さんへの想いを貫き通します。
そう考える私の中でもう諦めがついてしまったようだった。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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