手記弐拾肆頁目 ページ26
『ねぇ、狛治さん。』
花火大会から帰る道中、行きよりも強く固く手を繋いで帰路を並んで歩く。
狛「何だい?Aさん。」
隣で私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれる狛治さんは、微笑んだ。
『私、こんなに幸せでいいのかしら。』
まさか、実るとは思っていなかったこの恋心。今はただこうして狛治さんと居るだけで心が満たされる。
狛治さんは私の言葉に一瞬目を見開かせていたが、すぐに優しい笑みに戻って言った。
狛「はは、何も心配は要りません。……俺と貴女が居れば何も……」
そうして、二人で肩を寄せ合う。狛治さんのふわふわとした髪が耳を擽って少しこそばゆい。
『何だか怖いの。こんなに幸せだと感じているのは私だけじゃないかって。』
狛「そんな事は無いですよ。……俺もAさんと一緒に居ると幸せすぎて何処かへ飛んで行けそうです。それに……」
急に道の真ん中で立ち止まって、狛治さんは薄桃色の睫毛を揺らして言った。
狛「俺は何時までも貴女を想っています。」
『……!ふふ、私も今世は勿論、来世でもその先でも何時までも狛治さんだけを見て、愛しています。』
二人でそう愛を囁きあった。
私の家にあっという間に着いてしまって、別れをしなくてはと少し寂しくなる。
そんな私を見兼ねた狛治さんは、結い上げた髪が崩れない程度に優しく頭を撫でてくれた。
狛「そんな顔をしないで下さい。明日も会えますから。」
そして、前髪を一掬いして狛治さんはそこに口付けた。
狛「今日はゆっくり休んで下さい。ではAさん、良い夜を。」
そう笑った狛治さんは、今来た道を戻っていった。
狛治さんの背中を見送って姿が見えなくなると屋敷の門を開ける。
門を開けて、閉めると足の力が脱力してしまい門を伝って外にも関わらず座り込んでしまった。
今宵は頭がいっぱいいっぱいになるほど沢山の事があった。
『ああ、幸せで本当に飛んでいけてしまいそう……』
この時の私はまさかこの幸せが一瞬にして地獄になるとは思わなかった。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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