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手記弐拾壱頁目 ページ23

狛治side





祭りが行われている神社の境内に入ると、出店と人で溢れかえっていた。





花火が打ち上がるまで時間は少しあるので、出店を二人で物色する。





焼そばの香ばしい香り、綿飴の甘い香り、金魚すくいをして笑う子供達の声に不思議と気分が高揚していく。





狛「Aさんは気になる出店、ありました?」





返事がないので隣にいるAさんの方を向くと、彼女は違う所を見ていた。





視線を辿ってみると赤く艶めく林檎飴が沢山並ぶ屋台をじっと見ているようだった。





狛「林檎飴、食べたいんですか?」





そう問いかけると、Aさんは首をゆっくりと縦に振る。





彼女の手を優しく引いて、林檎飴の屋台まで歩いていく。





「いらっしゃい!」





気前のよさそうな中年の店主が、俺たちが林檎飴がずらっと並ぶ前に来たことで笑顔でそう言う。





狛「林檎飴を一つ。」





「毎度あり!お代もきっちりで!好きなの一つ取っていきな!」





狛「Aさん、好きなの選んで下さい。」





そう言うとAさんは、沢山並ぶ林檎飴達とにらめっこをし始めた。





そして暫く悩んだ後に、一際赤く爛々と輝く林檎飴を手にとった。





『これで!』





そう笑うAさんの笑顔は、いつもの大人な静かな笑みではなくて子供らしい無邪気な笑顔だった。





そんな笑顔を見て、愛おしさが心の中で溢れそうになる。





ああ、俺もつくづく不甲斐なくなったな。





Aさんの笑顔を見るだけで、心がじんわりと温かくなって幸せな気分になる。





出来る事なら、生涯この人の隣に立ちたい。





今すぐにでも溢れそうになる言葉と想いを胸の中に押し込んだ。





押し込んだは良いが、きっと今日には溢れてしまうだろう。





美味しそうに林檎飴を食べるAさんを見て、目を細めた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 猗窩座 , 狛治   
作品ジャンル:恋愛
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:主人公 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年11月9日 21時

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