手記拾捌頁目 ページ20
あの後、恋雪ちゃんに狛治さんを誘えと最後に言われて台所に戻った。
廊下から覗くと、戸棚を整理している狛治さんの姿があって咄嗟に隠れる。
恋雪ちゃんに改めて指摘されてから、そんなに私は分かり易かったのかと少し反省した。
今もただ狛治さんの背中を見ただけで鼓動が異常に早鐘を打ち、顔が熱くなるのが分かる。
恋雪ちゃんのせいで、無駄に意識をしてしまう。
一度、深呼吸をして心を落ち着かせて台所に入る。
『お待たせしました、狛治さん。』
そう声を掛けると、私の姿に気付いた狛治さんは一度手を止めて優しく微笑んだ。
狛「おかえりなさい、Aさん。」
優しげに細く薄められた瞳に、長い薄桃色の睫毛。
私は狛治さんの微笑んだこの顔ぶれが大好きだ。
作業に戻ろうと私に背を向けた狛治さんの道着を掴む。
狛「Aさん……?」
下を向いてしまってる為、狛治さんがどんな顔をしているか分からないが声がいつもより少し震えていて動揺してるのが分かった。
『その……もし、もし狛治さんが良かったなら……』
一思いに言ってしまえればいいのに今更断られてしまったら、と後ろ向きな考えが出てくる。
中々その続きを言えずにいると、狛治さんが私の手を掴んで、下を向いた私の顔を覗き込めるように膝を折った。
狛「何ですか?大丈夫ですよ、言って下さい。」
私の頬に手を滑らせて、背けていた視線が狛治さんとしっかり合う。
ああ、勇気を出せ自分。さぁ、一思いに!
『今夜の花火大会へ一緒に行ってくれませんか!』
勢い余って叫ぶようにそう私は狛治さんに言った。
目の前の狛治さんは、目を見開いていた。
『迷惑だったらご……』
ごめんなさい、そう言おうとした所で狛治さんの匂いに包まれた。
狛「迷惑なんかじゃありません。勿論、俺も貴女と行きたい。」
離れたあと、そう満面の笑みを浮かべる狛治さんを見て私も嬉しくなった。
この私達の様子を微笑ましく見守っている親子がいるとは私も勿論、狛治さんも知らなかった。
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主人公(プロフ) - まゆまゆさん» 本作品を見つけて頂きありがとうございます!私も映画見る前はそうでした笑是非ともこれからもご愛読頂けると嬉しいです(^^) (2021年3月26日 15時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やぁ〜、猗窩座とのお話しを探して三千里(はっ?)なかなか書いてらっしゃる方居なくて、見付けたら嬉しくて善逸みたいに汚ない高音でイィヤァァァア〜状態w自分無限列車何も知らずに観に行って猗窩座の第一声で石田彰さんて解って涎垂らしそうな程で、幸せ (2021年3月26日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。やっとこさ1を書き終えました。続編も近日公開致しますので是非ともこれからも応援お願い致します! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 1c0023d245 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 初めまして!この作品大好きで、ずーっと更新をお待ちしてたので嬉しいです!!!はくじさんと早く会えますように( ; ; )最後どうなるのか気になります!! (2021年2月21日 7時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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