− 淘汰

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佐久間は確かに人間が嫌いだと、大々的に公言はしている
それでも今まで人間に対して直接的な攻撃をしたことはなかった

樹さんの軍隊の緊急要請に向かった時も、仲間を一緒に攻撃しているように見せてそれでも仲間に佐久間の攻撃は一度も当たっていない




彼ほどの能力があれば近しい人間なんていくらでも消せるチャンスがあった、勿論私が来る前にも



それなのに今の今まで何もせず、昨日突然国王様にあれだけの仕打ちをしたこと
それが、どうしても理解ができなかったんだ




















佐久間「 俺は、っ……。 」
















佐久間が何か言いかける





その時、カツンカツンと階段を降りる音が聞こえてきた
運が悪い、見回りの人がやってしまったようだ




どこか隠れる場所はないか、探しても檻しかないような牢獄に避難場所は存在しない

見つかったらまずい、それなのに、どうしたら、























ジェシー「 姫様、ここで一体何を？ 」















声をかけてきたのはジェシーさんだった

てっきり北斗様と一緒に国王様の元へと行ったのかと思ったけれど
その目は不思議そうに、だけど怒っているようには見えない
















「 ……、佐久間とお喋りをしていたんです…。 」


















良かった、彼ならまだ安心出来る

それに間違ったことは言っていない
佐久間とお話していた……ただそれだけ

出来れば彼をここから連れ出してあげたいけれど





ジェシーさんは私と佐久間を交互に見ると、何故だか少し嬉しそうに笑う



















ジェシー「 夜は冷えます。国王様に歯向かうような反逆者からは手を引いて、さっさとお部屋に戻られてはいかがでしょうか？ 」















” 反逆者”
言葉は冷たくも、何故か言い方は優しい


それでは失礼します、そう言って一礼すると彼はまた地上に上がっていく

その時、ぽとりとその階段に何かを落とした














＿＿鍵だ






牢獄の鍵らしきものを、私に見えるようにして落としてくれるジェシーさん


言葉に出さなくても彼の考え、そして彼の言わんとしている事がひしひしと伝わってくる
……なんとも、粋なことをしてくれるようだ





















「 ほら、逃げるよ。 」















その鍵をさっと受けると、すぐに彼を捕らえる牢獄の鍵穴にさした










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