大丈夫、キミが好きだよ。#2【orange】 (ページ6)

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ある日の夜

私は1人でテレビをみていた

携帯の着信

画面をみると

『裕兄』

一瞬躊躇って

結局電話に出てしまう私は弱い

「もしもし」

横「あ、もしもし。ごめん今大丈夫やった？」

「うん大丈夫だよ」

横「あれからあまり時間作れへんかったしさ。元気かな～思うて」

「元気だよ、裕兄こそ元気？」

横「んー、まぁ、そこそこ元気やわ」

いつも曖昧な返事をするから
何だか不安になる

きっと隆平だったら「大丈夫大丈夫！元気モリモリ！」とか言って笑わせてくれるんだろうな

横「あー…特に用事とか無かったんやけど…あ、せや、そろそろ高校の学祭の時期ちゃう？」

「うんそうだよ、今準備してて、来週の木曜日と金曜日が当日なの」

横「楽しいか？」

「すごく楽しい。おかげさまで」

横「瑛斗高校やったっけ」

「うん。裕兄とお姉ちゃんの行ってた瑛斗高校」

横「そうか」

それを皮切りに裕兄の言葉が減る

お姉ちゃんは高校の終わり頃から徐々に体調を崩すようになって
高校を休みがちになった

そんなときも裕兄はお姉ちゃんを支え続けた

私はお姉ちゃんの思い出を探しに瑛斗高校を受験した

なのに

綺麗な思い出はこうも簡単に崩れるものだ

横「…彼氏とか、出来たん？」

「できるわけないよ」

横「そうか…じゃあAをデートに誘っても大丈夫やな」

「裕兄、すぐそーゆーこと言う」

横「本気やけどな」

裕兄はきっと電話の向こうでタバコを吸っている

たまに聞こえる深い呼吸音が

私を眠りに誘う

「裕兄、私は私で幸せだよ」

そう言うと

ストン、と眠りに落ちた

今日はまた悪い夢を見そうだ