四十 ページ42
『この三人の女装が酷すぎて、実習途中で町の人に男だとバレて失敗、ってところですか』
私がそう言うと、あははは……と小平太と留三郎が苦笑した。
仙蔵「大方当たっているが、外れだ」
仙蔵はキッと文次郎の方を睨んだ。
一方、文次郎はばつが悪そうにそっぽを向いている。
仙蔵「此奴は男役だったのだ」
『え』
文「……っうるせぇな」
留「いくら恋人ができたことないからってアレは流石にないよなあ!!」
文「なぁんだと?!!!」
そして、またいつもの取っ組み合いの喧嘩が始まってしまった。
(あーもーこれだから犬猿は……)
文次郎も留三郎も単体では良い先輩なのに、組み合わせるとどうしてか精神年齢がだだ下がる。
私はやれやれとため息をついてから仙蔵に話しかけた。
『それで……明日の補習授業で私は何をすればいいんです?七人じゃペアになりませんけど、審判ですか?』
仙蔵「いや、私と伊作と長次は不参加だ。詳しいことは私も知らん」
『そうなんですか』
仙蔵「これは元々山本先生考案の実習だったそうだから、お前を参加させるということは何か考えがあるのかもしれんな」
私はまだ腑に落ちていなかったが、これ以上訊いても仕方がないので明日になるのを待った。
『町娘には……見えませんね』
留「ひでぇなぁ…完璧な女装だろうが」
『貴方鏡に映ってる自分見て口説けますか』
私は今、留三郎を自室に招いて女装をさせている。
何故こんなことになっているかというと、遡ること半刻前
『男装、ですか……』
シナ「はい。Aさんには男装してもらってこの変装の補習授業に参加してもらいます」
『なるほど……足りない男役を補うことに加えて私の男装の腕も見るわけですね』
シナ「その通りです。なお、女性役二人の化粧や着付けはAさんと立花くんで手伝ってあげてください」
仙蔵「はい」『はい』
___というやりとりがあったからなのだ。
もう一度留三郎なりに女装させてみたが、やっぱり駄目らしい。
うん……壊滅的だな。
『まず化粧が全体的に濃いです。頬紅も口紅もほんのりと色づく感じで十分なんですよ』
留「でも、頬も唇も赤い方が男は心惹かれるもんだと思うけどなぁ」
『貴方のはやり過ぎです』
私が少しばかり化粧に手を加えると、随分良くなった。
素材はいいのだから自分でも頑張ってほしい。
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時