三十八「変装の補習授業」 ページ40
風邪が治ってから数日
滞っていた授業や委員会の仕事を積極的に進め、やっといつものペースに戻すことができた。
私は久しぶりに暇な時間ができたので、人間観察と称して校庭をぶらぶらと歩くことにした。
『あ!乱太郎きり丸しんべヱ』
乱「A先輩!!お久しぶりです!!」
きり丸「風邪治られたんすね!」
しんべヱ「ぼくたちお見舞い行こうよって話してたんですっ!」
『あら、そうだったの』
私がありがとう、と頭を撫でると三人は照れくさそうな笑顔を見せた。
(そういえば、こうして三人が揃っているところに会うのも久しぶりのことだな)
普段は委員会の仕事に没頭しているか鍛錬、実習やアルバイトなどに追われながら過ごしているからか暇を持て余していることは少ない。
だから、三人に会う時と言ったら委員会の仕事中や廊下ですれ違った時くらいだ。
幼子らしいほのぼのとした雰囲気は此方の心まで和ませてくれる。
そんな後輩が可愛くて撫で続けていると、しんべヱがハッと何か思い出したかの様に表情を変えた。
しんべヱ「そういえば、A先輩は今日の六年生の実習行きましたか?」
『今日の実習ですか…?私は不参加でしたけど……』
乱「何か先輩方から聞いてませんか?」
『何か聞きたいことがあるのですか?』
そう言うと、三人の表情が曇って黙ってしまった。
だが、やっぱり言うべきだと思ったのか、きり丸が私の目を見て真剣な顔つきで話し始めた。
きり丸「実は、六年生の先輩方の今回の実習……全員失敗しちゃったみたいなんです」
『全員失敗……?』
あの六人が?
今までの五年間でもあの六人が全員実習失敗なんて滅多に聞いたことがなかったので、私は耳を疑った。
『それ本当ですか?』
乱「いや、あくまで噂なんですけど……」
しんべヱ「帰ってきた先輩達、いつもより落ち込んでたり機嫌が悪かったりして……もしかしたら噂が本当なんじゃないかと思っちゃって」
『なるほど……わかりました。あの六人のことちょっと調べてみますね』
「「「ありがとうございます」」」
三人は私に向かってペコっと頭を下げた。
まだ表情には不安が残っている。
(さて、後輩にこんな心配をかける同級の様子を見に行かなくてはね)
私は乱太郎きり丸しんべヱに別れを告げ、上級生の長屋の方へ向かおうとしたその時、
シナ「あら、Aさんこんなところにいたんですね」
声をかけられたのは、おばあちゃん姿のシナ先生だった。
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時