十六 ページ18
外に出たは良いものの、後ろを見れば追手が迫ってきていた。
(ちょっと待ってよ、食べるの早すぎじゃない?)
特に小平太はどんどんと距離を詰めてきている。
このまま真っ直ぐ行っても学園の外壁にぶつかってしまう、応戦しても良いんだけどそれはそれで後で保健委員会と用具委員会から苦情が来るだろう。
私は突き当たりで左に曲がろうと方向を変えようとしたのだが、そちらからはなんと生物委員会が迫ってきていた。
前と右は壁で行き場がなく、左と後ろからは追手
袋のねずみとはこの事である。
(しょうがない……ここは一旦学園を出るしかない)
もうすぐそこまで敵は迫っている。
あれこれ考えている暇などない。
小松田「ちょっと待ってくださ〜〜〜い」
私が壁に登った瞬間、小松田さんが壁の上をものすごいスピードで走ってきた。
小松田「出門表にサインしてくださ((『はい、しましたよ』
小松田さんが此処にくるのは想定内
私はサッとサインし終えると壁の外に出た。
その時だった。
小松田「あれ?これ出門表じゃない」
『____は?!』
(それって、もしかして……?!!)
私は小松田さんのもとに戻り、手元にある紙を奪い取ろうとしたのだが、
『っ何?!』
両手を背後で掴まれてしまったのだ。
「A先輩、そうはさせません」
『その声は三木ヱ門ですか?』
ということはつまり、あれは___
「会計委員会のものということだ」
声の方を向くと、したり顔の同級が立っていた。
(ああ……やってしまった)
確かに今思えば、会計委員会だけ何も仕掛けてきていなかったのだ。
まさか、焦って注意散漫になるこの時を狙っていたなんて……
文「呆気ない最後だったな」
邪悪な笑みを浮かべている文次郎
今すぐ殴ってやりたい。
あまりのことに他の委員会メンバーも唖然としている。
そして突然、私達の集まっている場所の中心に煙玉が投げ込まれた。
「さあて、今年も長い戦いじゃったのお」
煙の中から出てきたのは学園長先生だった。
学園長は文次郎から私のサインが書かれた紙を受け取ると、叫んだ。
学園長「今年の委員会争奪戦、これにて終決じゃ!!」
こうして、私の【今年はどの委員会にも入らない】という目標は達成出来なくなり、あろうことかあの会計委員会に所属することとなってしまったのだった。
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時