九 ページ11
【鉢屋三郎side】
先輩と別れた後
私は一人静寂の中で笑っていた。
鉢屋「……また見破られた」
彼女はいつも私の変装を簡単に見抜いてしまう。
そして今回はここが良かったなどと言って、毎回褒めてくれるのだ。
他の奴はそんな事しない。殆どの奴は気付かないし、
変装を見破ったら見破ったで、詰めが甘いだのヘタクソだの酷いことを言われる事もある。
褒めるのなんて彼女くらいだ。
だからなのか、彼女に見破られるのは全然悔しくない。
寧ろ嬉しいとさえ思う。
恐らく彼女には一生敵わないだろう。
私が一度本気の変装をした時も彼女だけは見抜いてしまった。
きっとこれからもそうだろう。
あの人だけは私をわかってくれる。
忍者としては失格なのかもしれないが……
それが私にとっては最高の幸福なのだ。
_____
【主side】
庄「そういえば、鉢屋先輩は何故あそこで別れたんでしょう?ご一緒に来ればよろしかったのに」
『きっと他に用事でもあったんですよ』
庄左ヱ門と私はそう一言交えただけで後は無言で廊下を歩いていった。
ふと視線を庄左ヱ門に向けると先程から此方を見ていたのか、バチっと目が合った。
庄左ヱ門はそのまま目を離さなかった。
『あの……恥ずかしいのですけれど』
庄「え?!A先輩も恥ずかしいって思う事があるんですか?」
(ん?若干失礼なこと言われたかな今)
『……どういうことですか?』
庄「何というか……A先輩って凄く綺麗で美人だけど、笑わないから冷たそうな氷みたいな雰囲気があって……ようは、“高嶺の花”なんですよ」
『高嶺の花ですか……』
庄「だからなのか自分達と同じ様な感情を持ってるのが新鮮な気がしたもので」
庄左ヱ門は一点の曇りもない瞳で私を見つめながらそう言った。
高嶺の花かはさておいて、冷たそうって思われていたのは少々残念だ。
やはり笑えないというのは困ったものである。
庄「さあ、着きましたよ」
庄左ヱ門が戸の引手に手をかけようとした時だった。
戸がバッと開いて中から何かが私に向かって飛び込んできた。
私が素早く横に退くと、その何かは床目掛けて真っ直ぐ突っ込んだ。
『勘右衛門、また巫山戯ているんですか?』
尾浜「あはは……折角先輩に久しぶりに会えたから
彦「尾浜先輩はいつもA先輩にこんなことを?」
尾浜「いつもというわけではないけど……」
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時