37話 ページ41
その後、3人とTwitterに載せる写真を撮り、ぺけたんとンダホくんは帰って行った。
残された私とモトキくん。
伝えなきゃいけないことがあるのに、変に意識してしまって口数が減ってしまう。
「Aちゃん、泣いたでしょ。…目、赤くなってる。」
そう言ってモトキくんは私の目元に手を伸ばし、そっと頬に手を触れる。
ほんとにモトキくんには隠し事ができないな。
「今日のライブ、届いたかな?」
私はモトキくんを見上げながらおそるおそる問いかける。
今日の公演の最後の曲は、モトキくんの為だけに天月くんから借りたもの。
不器用な私には、歌しかないから、届けるにはこれが1番だと思った。
「もちろん、届いたよ。」
噛み締めるように言いながらモトキくんは微笑む。
…伝えるなら、今しかない。
「あのね、モトキくん!
私、伝えなきゃきいけないことがあって、」
「待って。」
想いを伝えようとした私の言葉がモトキくんによって遮られる。
やっぱり、迷惑だったのかな…?
せっかく止めた涙がまた溢れ出しそうになる。
そんな私を見て、モトキくんが優しい声色で話し出した。
「そこから先は、俺に言わせてよ。
今日のAちゃんからのメッセージ、本当に嬉しかった。俺も、嘘をついてたんだ。自分に。
やっぱり俺ら、似た者同士なんだよ。不器用で、下手くそで、意地っ張りで。
でもね俺も、もう自分の気持ちに嘘はつかない。」
初めて聞くモトキくんの弱音と、決意のこもった瞳に心拍数が自分の上がっていくのがわかる。
今すぐ言ってしまいたくなるのを堪えて、彼の次の言葉を待った。
「Aちゃん、俺は君が好きだよ。
俺と付き合ってください。」
気が付けば流れ落ちる涙を拭うことさえ忘れていた。
私はいつからこんなに泣き虫になったのだろう。
いいや違う、この涙はモトキくんがいるからだ。
「うん、もちろん。
私も、モトキくんが好き。」
声が震えてしまうのを抑えながら笑顔を作る。
涙でぐちゃぐちゃになったまま笑っているのだから、いまの私はひどい顔をしているだろう。
それでも、モトキくんには笑っていたくて。
ありがとう、私を理解してくれた人。
これからも、大好きです。
89人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もきたん - 星の数が足りない〜ポチポチポチポチ (2020年9月13日 10時) (レス) id: 0ceb3868db (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - LINEのところの吹き出しってどうやりますか?私も登校しているのですが、やり方が分からなくて…教えてください!この作品大好きです! (2019年10月25日 20時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - 一気読みてしまいました…笑素晴らしいお話でした!!!天月くん視点の話も見てみたいです! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)
ここぐみ - 付き合ってからの二人が気になる! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 08670c7dca (このIDを非表示/違反報告)
せいら/うおたみん(プロフ) - 付き合ってからの2人、気になります!お時間があれば、ぜひ作ってください(´∀`)次回作も楽しみにしてます(*^^*) (2019年9月3日 21時) (レス) id: 2c14e8117c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月13日 2時