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25話 ページ29

その瞳の奥の世界に私はどう映ってるの?
怖くて踏み出せない今日も





大好きだった彼の歌声がイヤホンから流れ込んでくる。


本気じゃなかった訳ではないけれど、時の流れというものはいつしか心の傷をも癒していくもので。





私が失恋をしてから二週間程が経った今、あの時の悲しみは思い出へと変わりつつあった。




私のアルバム発売とツアー開始までも一週間を切り、ここ最近は仕事詰めの毎日。



叶わない恋でも、それに見合った終わり方が存在するのを知れた。


それと同時に、あの時、モトキくんから無理に笑う必要がないことも教えてもらった。



自分のことをわかってくれる人がいるだけで、十分に前を向ける。



だから、このアルバムが発売すると同時に、自分の気持ちに嘘をつくのはやめようと思った。




音楽を止め、私は自分の家のマイクの前に立つ。


私にはこれしか出来ることがないから。





一通り歌い終えて、編集をする。


凝ったことはしなくていい。着飾るのはやめよう。



そうして約3時間程で1本の歌ってみたが完成した。




時計の針はいつの間にか18時を指している。




私はTwitterを開き、スマホに指を走らせた。




『アルバム発売＆ツアー開始まで一週間切ってしまった、、、
とはいえ未だ実感が湧かずふわふわした複雑な思いのまっちゃです笑

本日20時、歌ってみたを投稿します。殻を被ってちゃ、進めない。』




ツイートボタンを押すとすぐに沢山のいいねやリプライが届く。



そうだ、私を応援してくれる人はこんなにいる。


きっと、大丈夫。





そう決意をし、私は動画の予約ボタンをクリックした。





インタビュア【歌ってみた】/るりまっちゃ。

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