19話 ページ22
3人姉弟の1番上だった私は、小さい頃は初めてできた子として、大事に大事に育てられてきた。
しかし、弟ができてから、次第に両親の愛情は弟に移って行った。
仕方のないことだと、頭の片隅でわかっていながらも、私は両親の興味を惹くためにいい子になろうと努力した。
小学生の頃からバスケを続け、習字を習い、テストでは大体いつも満点。
中学に上がってもバスケ部に入り、成績は常に10位以内に居続け、生徒会の副会長だってやった。
その頃から不器用だったのだろう、放っておいてもそこそこの成績を残す私が出来上がってしまったせいで、両親の中での1番は常に2人の弟のどちらかにあった。
折り重なるように、部活で軽いいじめにあった。
典型的なやつだ。同じ学年内で、順番が回ってくるやつ。
とてもとても辛かった。
誰かに頼りたいと何度も願った。
けれど、『優等生』というレッテルが貼られた私は、誰かに頼ることはプライドが許せなかった。
もう、戻れない所まで来てしまっていた。
この時、笑顔を作って、自分の身を厚い殻で覆うことを学んだ。
高校に行ってもそれは変わらなかった。
軽音部に入り、ずっと好きだった音楽を出来ることに喜びを感じたのも束の間、人の顔色を窺いながら生きてきた私は人から頼られることに自分の存在価値を見出していた。
親からの期待に応えたくて、生徒会に入り、バイトだってした。
成績も評定平均は4.7を割ったことはなかったし、小学からバスケをやっていたおかげで運動も出来ないわけじゃない。
なのに、恋愛では好きな人と仲良くなることすらできなかったし、友だちからは頼み事を聞いてくれる都合のいい人としか扱われなかった。
それでも、助けを求めたら負けだと思っていたんだ。
この時、『大丈夫』って言って、耐え続けることを学んだ。
大学では本格的に音楽を始められたから、やっと自分の居場所ができたと思っていた。
『るりまっちゃ。』って名前で活動を始めたのもこの辺りだった気がする。
でも、やっぱり待っていたのはアンチに怯え、リスナー同士の関係ない争いに私が謝罪をし、歌い手仲間と関わる時も堂々と出来ずに過ごすような日々。
昔から不幸体質だった。
何度、自分の人生をコンテニューしたいと思ったか。
何度、RPGの主人公だったらよかったのにと思ったか。
___ずっとずっと、自分のことが嫌いだった。
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もきたん - 星の数が足りない〜ポチポチポチポチ (2020年9月13日 10時) (レス) id: 0ceb3868db (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - LINEのところの吹き出しってどうやりますか?私も登校しているのですが、やり方が分からなくて…教えてください!この作品大好きです! (2019年10月25日 20時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - 一気読みてしまいました…笑素晴らしいお話でした!!!天月くん視点の話も見てみたいです! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)
ここぐみ - 付き合ってからの二人が気になる! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 08670c7dca (このIDを非表示/違反報告)
せいら/うおたみん(プロフ) - 付き合ってからの2人、気になります!お時間があれば、ぜひ作ってください(´∀`)次回作も楽しみにしてます(*^^*) (2019年9月3日 21時) (レス) id: 2c14e8117c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月13日 2時