▽難易度を選択してください【Fischer's】

12話 ページ14

「…Aちゃんさ、なんかあった？」


「え…」


「なんか、今日ずっと暗い顔してた。」






Fischer'sの皆との打ち合わせの帰り道、モトキくんからそんなことを言われた。



なんで、なんで君がそんなことを言うの？

どうして気づいてくれるの？



「なんでもないよ！ちょっと仕事の疲れが出てたのかも。大丈夫だから！」




けれど、口をついて出たのは『大丈夫』の言葉。



ううん、これは本心。
本当に大丈夫なんだ。



私の言葉を聞いて、モトキくんは表情を歪める。


「もしかして、天月さんが関係してたりする？」


「なんでそれ…」


「初めてAちゃんに会った日にそうかなーって思ったんだ。
Aちゃん案外わかりやすいよ？」



そう言ってモトキさんは笑いかける。

…まさか、バレてたなんて。
モトキくんになら、話してもいいかな。



「あー、バレちゃってたかぁ…

ほんと大したことじゃないんだけどね、実はさ…」




▽▲▽▲▽▲



「今日の告知はここまで！お知らせできることはもう少しあるから待っててください…！」




打ち合わせをした日の夜、アルバム発売と全国ツアーの告知放送を終えた私はそのままベッドへと転がり込んだ。



いまだつっきーから返信はない。


ゴロゴロしながらスマホを見ていると、とある記事が目に入った。





『これが来たら脈ナシ！！男が付き合うつもりのない女の子に送るLINE5選』





気がついたらその記事をタップしていた。

こんなの、見ても虚しくなるだけなのに。



一通り記事を見終わって、自分があまり当てはまらないことに少しだけ安堵する。




ﾋﾟﾛﾝ



通知音。
……つっきーからだった。




天月ごめん!仕事入ってて明日は時間ないんだ。




たったひと文。

それでも返信しなくちゃいけないという思いから、止まりそうになる思考回路をどうにか動かして指先をスマホに走らせる。




るりまっちゃ。そっか、全然大丈夫だよ!

るりまっちゃ。むしろ、こっちこそ忙しいのにごめんね!






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

文字数の関係で中途半端ですが次に行きます。

13話→←11話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す