10話 ページ12
「じゃあ、本題のコラボの件なんだけど…」
シルクくんが切り出す。
そうだ、私はこの返事のためにここに来たんだ。
はっきり、言わなきゃ。
すごく、すごく、怖いけれど。
これだけ悩んだんだ。
ここで言わなきゃ、全部が無駄になってしまう。
「…本当にごめんね。コラボは、できない。」
一瞬の静寂。
その空気を破ったのは、意外にもモトキくんだった。
「そっか。
Aちゃんのことだから、なにか理由があるんでしょ!
…それならしょうがないよ。」
申し訳なさに押し潰されそうになる。
ごめん、ほんとにごめんね。
そんな言葉が頭の中を駆け巡って占拠する。
「コラボしたいのは山々なんだけど、ちょっとまだ自分に自信が持てないというか、Fischer'sのみんなに迷惑かけることになりかねないからさ。」
これは半分嘘で半分ほんと。
考えに考えた結果、私なんかが相応しい相手じゃないという結論に至った。
もちろん、その考え方が誘ってくれたみんなに悪いこともわかってる。
それでも、私の5年の努力を手放したくなかった。
「…本当に、ごめん。」
あまりの申し訳なさに思わず俯いてしまう。
「大丈夫だって!
俺らだって無理を強いることはしない。むしろ、Aちゃんが『ぜひコラボしたい!』って思うくらいのYouTuberになるからさ!!」
「おぉ〜、シルク言うねぇ〜。
まぁでも、それくらいの勢いで行かなきゃ、Fischer'sじゃないか!」
「俺ももっと歌上手くなって絶対いつか『るりまっちゃ。× ぺけたん』って書いた動画出すわ!」
「だからさ、Aちゃんもそんな気負いしないで。俺らが頑張るから。」
そう言って笑いかけてくれるモトキくん。
その言葉に救われる
…のだろう、本来は。
あぁ、私は私が嫌いだ。
Fischer'sのみんなに気遣わせてしまった。すこしなりとも傷つけてしまった。
1番の理由はそこじゃないのに。
私は気遣ってもらえるような人間じゃない。そんな大層な人格者じゃない。
ごめんね、ごめんね。
こんな風に皆の優しさを素直を受け入れられなくてごめんね。
最低な人間でごめんね。
自分でも面倒くさい性格だってわかってる。本当にごめん。
こんな考え方しかできない自分に嫌気がさして、いつまで経っても自己嫌悪。
本当に私は私がだいきらい。
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もきたん - 星の数が足りない〜ポチポチポチポチ (2020年9月13日 10時) (レス) id: 0ceb3868db (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - LINEのところの吹き出しってどうやりますか?私も登校しているのですが、やり方が分からなくて…教えてください!この作品大好きです! (2019年10月25日 20時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - 一気読みてしまいました…笑素晴らしいお話でした!!!天月くん視点の話も見てみたいです! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)
ここぐみ - 付き合ってからの二人が気になる! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 08670c7dca (このIDを非表示/違反報告)
せいら/うおたみん(プロフ) - 付き合ってからの2人、気になります!お時間があれば、ぜひ作ってください(´∀`)次回作も楽しみにしてます(*^^*) (2019年9月3日 21時) (レス) id: 2c14e8117c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月13日 2時