先輩は片足手纏い【男主】

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Aside


片足を無くして1日目、ベッドから起き上がるのも一苦労。
着替えるのも一苦労、食堂に行くのも階段を上るのも一苦労。
途中から思い始めた、これ一苦労じゃすまんわ。

『義足が届くまでの辛抱か、それともこのまま慣れさせるか……どっちにしろ時間掛かりそ〜。』

正直、片足を無くしたショックはデカかった。
その場で叫びたくなるくらいの痛みだったから。
筋肉と骨が裂かれ、皮膚が破られる音と感覚は二度と忘れない。
いや、忘れられない。

けれど灰原と七海のあんな驚いたような、絶望したような顔見たら大丈夫だって言って見せたくなる。
後輩達にはやっぱカッコつけたいでしょ？
まぁ逆効果だったっぽいけどさ…。

灰原｢A先輩！｣
『お、灰原いい所に！』
灰原｢お困りですか？｣
『あぁ、ちょっと困っててな。』

やけに灰原が手助けをしてくれるのだ。
嬉しいけど、やっぱり足を無くした原因になっていると思っているのだろうか。
俺の足を見た時、一瞬顔を歪める。
そして歪な笑顔を作る。

『…言っとくけど、お前の所為じゃないからな。』
灰原｢ｯ､何の事ですか？｣
『気持ち悪ぃ作り笑顔なんて貼り付けてんじゃねーよ、今にも泣きそうな癖に。』
灰原｢そんな、わけ…｣

ぐしゃぐしゃと頭を撫でれば、雫が降ってくる。
灰原は座った俺の隣で泣き始めた。

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