先輩は片足手纏い【男主】

12＿ ページ13

そもそもこんなんで歩けるのか？
と立ち上がると考えてもいなかった激痛。
傷口が癒えていないからなのか、太ももに先程より強い痛みが流れた。

『いっ、た…。』
家入｢…大丈夫？｣
『大丈夫じゃない。』
家入｢そこは男なら嫌でも大丈夫って言えよ。｣
『ほんと無理、まじで無理、ﾀﾋぬ。』
家入｢弱音だっさ…。｣
『男としての何かを貶された気分。』
家入｢何がとは言わないけど貶してるからね。｣
『ひど……。』

少なからず心配はしてくれているように感じた。
大切に思われてるのか、と少しだけ実感した。
本当に少しだけ、もしかしたら自意識過剰だからなのかもしれない。

『家入って、俺のこと好き？』
家入｢は？なに急に。｣
『何となくだよ。』
家入｢んー…先輩としてはいいんじゃない？男としてはあのクズ共と大差ないけど。｣
『相変わらず辛辣だな。』
家入｢辛口の方が私は好きだよ。｣
『酒の話じゃん、未成年飲酒禁止ですが。』
家入｢知らないね。｣

けど、その少しでも

『あは、』
家入｢何笑ってんのキモいよ。｣
『お前のこと今日から辛口硝子って呼ぶね。』
家入｢義足叩き壊すぞ。｣


その大切にされてるのを信じたい。

そう思えば、いつの間にか義足の痛みは消えていた。

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