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2人で話しながら歩いていると
福良「っ……」
いつもと同じ曲がり角を曲がって少ししたところで聞こえてくる足音。
俺の異変を察してか
須貝「俺がいるから」
コソッと伝えてくれたその言葉は、俺の脆くなった心を優しく支えてくれた。
でも、いつもと少し様子が違って
足音が、いつにも増して速い。
まるで、いつもみたいに逃げられないように距離を詰めているような。
近づいてくる足音に、体はどんどん強ばっていって
逃げないといけないのに。身体が動かない。
俺が振り返ろうとしたその時
須貝「福良、危ない……!」
そんな声と、少しずつ傾いていく須貝さんの背中。
世界がスローモーションになったんじゃないかと思えるくらい、やけにゆっくりと須貝さんの背中は倒れていっていた。
俺たちの周りには人が集まってきていて
福良「須貝さん……須貝さん……!」
俺はただ名前を呼ぶことしか出来ない。
どこからか救急車のサイレンの音が聞こえてきたことは覚えているけど、そこから先のことは覚えていなくて
気がついたら、ランプで赤く染まる廊下のベンチで、スマホを握っていた。
いつの間にかQuizKnockのグループにも連絡を入れていたみたいで
本当にほとんど記憶がない。
手術は無事に成功したみたいで、あとは傷が治ることを待つのみ。
なのに、須貝さんが眠ったままもう丸3日も経っていた。
福良「何で俺、あの時……」
須貝さんと一緒に帰っちゃったんだろ……?
何で須貝さんの言葉に甘えちゃったんだろ……?
手術は成功したはずなのに……。
命に別状はないって言っていたのに……。
このまま、須貝さんが死んじゃったらどうしよう……。
福良「俺の所為だ……」
須貝「ふく、ら……」
福良「須貝、さん……?」
須貝さんの声が聞こえて、そっちを見ると
ゆっくりと須貝さんの目が開いた。
須貝「福良の、所為じゃ、ないよ……?」
ああ、この人はこんな時まで人の心配をして、気を遣って。
でも、そうさせているのはきっと俺なんだろうな。
福良「須貝さん、すみませんでした……」
須貝「謝らなくて、いいよ……。俺は、大丈夫、だから……」
大丈夫"だった"だけで、それは結果論なんだけど
須貝さんは俺を元気づけることを今も優先している。
でも、こんなことになったんだから謝ることだけはちゃんとさせてほしい。
そこはちゃんとした大人として、大切なことだから。
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凛花(プロフ) - 穂香さん» 穂香さん、Part11に下さったリクエストもしかして消されましたか?既に拝見させて頂いておりますし、丁寧にコメントも下さってすごく嬉しかったです。是非お応えさせて頂きたいと思っておりますので、お手数お掛けしますが、もう一度リクエストして下さると嬉しいです! (2021年3月27日 20時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - KARENNさん» コラボですか……。作者をやっている者だけの楽しみ方ですもんね!合作とかされている作者様たちを見ると、すごく羨ましくなりますよ!駄作者の私にはまだまだ誰かと創るなんて早いですけど。折角の文才を私が台無しにしてしまいますから相手の評判を下げてしまうので! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - KARENNさん» 返信が遅くなってすみません!遅すぎですね……。先日、数えてみて140個という数字に驚きましたよ(笑)私だからかどうかは分かりませんが……。駄作者である私にリクを下さるのは、皆様が優しい方々だからだと思いますよ! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - ルルさん» そうやって寛大な方で安心しました!お優しい方に読んで頂いているという方ですね!どういう結果になっても頑張ろうと思っておりますので、最後まで応援して下さると嬉しいです! (2020年11月23日 23時) (レス) id: 322dd9cdae (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 続きです 表現の違いなども小説を読んでいく上で楽しみの一つとなっています。なのでこれからも凛花さんらしい小説を書いてくれたら嬉しいです。長文失礼しました! (2020年11月23日 23時) (レス) id: 24ba0d1a0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛花 | 作成日時:2020年10月4日 11時