体調が不良気味のようです【QK】-9-

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川上｢ストーカー……。だからいつも出勤した時は元気そうなんですね｣


いつも不思議には思っとったんよね。


伊沢｢時間が進むにつれてどんどん怖くなっていって……まさか川上にバレてるとは思ってなかったけど｣


俺だって一応ちゃんと周りのことは見てる。


それに、どうにかしてあげたいとも思う。


川上｢伊沢さん、今日一緒に帰りませんか？｣


伊沢｢え？いや、いいよ悪いし……｣


川上｢俺が一緒に帰りたいんですよ。ダメですか？｣


伊沢｢ありがとう｣


もっと自分勝手になってくれても良いのにな。


伊沢さんにはそれが出来ないことも分かっているから難しい。



川上｢伊沢さん、こっち終わりました｣


伊沢｢俺ももうちょっとで終わる｣


みんな帰ったから、今はオフィスに2人。


忙しなく動く伊沢さんの指が止まったのが、俺が声をかけて10分後だった。


伊沢｢終わったよ｣


川上｢じゃあ、準備して帰りましょう｣


俺たちはオフィスの戸締まりを確認して、家路についた。



伊沢｢まただ……｣


後ろから聞こえてくる足音。


これが例のストーカーか。


試しに軽く足を速めると、後ろの音も速くなった。


元のスピードに戻すと、後ろの音も戻って


確かにストーカーであることに間違いはないらしい。


伊沢｢え……｣


俺たちが走ってもないのに速くなった足音。


思わず2人で振り返ると、1人の女がこっちに向かって走ってきていた。


その手には刃物がキラリと光っていて


いきなりのこと過ぎて、足が止まってしまった。


女｢私と一緒に死んで！｣


意味の分からないことを言いながら、伊沢さんに向かって走っている。


川上｢伊沢さん！｣


俺は気がついたら、伊沢さんの名前を叫びながら身体が勝手に動いていて


グサッという音と、痛覚を抉るような何とも言えない痛みと、鋭利なものが肉を無理やり裂く感覚に襲われた。


最早何も声が出なくて


朦朧とする意識の中


伊沢｢川上！川上……！｣


伊沢さんが俺を呼ぶ声が聴こえた。


心配させちゃいけない。


川上｢伊沢、さん……俺は、大丈夫、です……｣


そう言ったところで意識を失った。

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