遠回りしても…４【ダイヤのＡ】

23話 ページ24

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梅ちゃんに言われた通りに
一也とちゃんと話そう思っているが、
いざ本人を目の前にすると
言葉が出ない。




『一也？』




「ん？」




ここまでは、なんなくクリアできるのだが
問題はここからだ。
どうしても、こないだの出来事を聞けない。





『あのさ…』



まただ…
こないだ、モデルの詩音といたよね？
そう言おうと思っても
次の言葉が出てこない。




「なんだよ？」



なかなか次のセリフを言わない私に
痺れを切らしたのか、
重ねて聞いてくる。





『く…クリスマス！なんか欲しいものある？』





結局また言えなかった。
別れ話しをする訳じゃないのに
こんなにも苦戦するなんて…




「強いて言うなら、お・ま・え？」




『…あっそう…。』





ウインク付きで言われたが、
そんなことに付き合ってられない。
むしろ、いつも通りな一也で
こないだのことは
私の考え過ぎなんじゃないかと
思い始めた。



「Aが聞いたんだろ？」



『一也が、馬鹿げたことしか
言わないのが悪い。』





はぁー…と、ため息を吐くと
結構マジなんだけど？
と、言われてしまった。




と言うか、クリスマス近いことを
自分で切り出したくせにすっかり忘れていた。
クリスマス前に
関係が拗れそうな話をするのは
良くない気がしてきた。




まあ、クリスマス終わってからでいいか。
そう考えると気が楽になった。





『じゃあ、私がプレゼントになってあげるから
美味しいもの食べさせて？』






マジ？と、
目を輝かせる一也に身の危険を感じ
自分のセリフを後悔した。





「しゃーねぇなぁ〜！
とびきり美味いもん食わせてやるよ。」





私の頬を撫でながらニヤッと笑う
一也から逃げる様に
体重を後ろへと移動させた。




『や…やっぱり…』





「無しってのは、無しな？」




完璧に表情から次の言葉を読まれ
一也の笑みが反論を許してくれない。




『あはははっ…ですよねぇ〜！』









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