その5 ページ5
「ん...」
見たことのない天井。
久しぶりの布団の柔らかい感触。
「起きたか。」
「？！」
状況整理が追いつかない。
「ここどこ」
思わず砕けた口調になってしまい、慌てて口を塞ぐ。
「安心しろ、ここにはお前さんの敵も味方もいないさ。
あー...味方がいないって言い方はちょいと語弊があるな。」
私が寝ていた布団の隣で淡々とそう喋るその青年。
「手当てありがとうございました。
私はもう帰らなきゃならないので」
そう言って布団から出ようとしたが、その青年は素早く私の腕を掴む。
「そういう訳にはいかないんだ。かなり深い傷を負ってるみたいだしな。
そのまま山に戻った所で後々の仕事に響くだけってのは自分でもよくわかってるだろ？」
「お詳しいんですね」
「まあな、一応その時代を生きたことはある。」
妙な言い回しに疑問を抱く。
「その時代...？何を言って......」
「まあそのうち分かるさ、とりあえず今晩はここで休め。そうすれば明日には全快だろ」
彼はそう言って部屋を出て行った。
「どうしよう...早く戻りたいけどこのまま戻っても使い物にならないかもしれないし」
ならばここで都合よくしっかりと傷を癒すべきか？
だがもしここで殺されたりしたら？
あの青年の言っていたことを迂闊に信じるということもできない。
「とりあえず寝ないで起きておくしかないな」
敵襲にさえ備えていれば大丈夫だろう。
.
.
.
「薬研、あの子の様子はどんな感じだったの？」
風呂から上がると、廊下で加州の旦那とばったり会う。
「やっぱ訓練された忍びって感じだな。こっちがなんと言っても何一つ信じちゃいない。」
「それはなかなかキツいね...今もまだ部屋にいるの？」
「あぁ。目かっ開いて起きてると思うぜ、
なんせまだあの娘は俺達のことこれっぽちも信用してないからな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にわ | 作成日時：2020年2月7日 19時
