その27 ページ27
「あ…ぁ、そんな…うそだ」
「堀川…？どうした……うっ」
堀川に続き部屋を覗いた浦島は思わず口を手で覆った。
『やっぱり遊女なんてのは簡単に股を開いてナンボなんだよな」
女性にまたがり必死に腰を振る男。
その下には、光悦とした表情で口元に笑みを浮かべるあの忍びがいた。
刹那、彼女の光を失った虚ろな目がこちらを捉える。
「…ッ」
ほんの一瞬苦しそうな表情になった後、彼女は言葉を発さずにこう口を動かした。
「 邪 魔 を し な い で 」
.
「い…一兄、はやく…はやく一兄に言わなきゃ…忍びさんが…ッ」
「五虎退、ちょっと待って！」
短刀二振りは、忍びと男の行為が始まる前にすぐに建物を出て、和泉守と一期のもとへ向かっていた。
「どうしたんだい、2人とも...忍びの子は見つけたのかい？」
「はやく行かなきゃ！忍びの…お姉さんが…ッ！！」
涙をぽろぽろと流しながらそう言う乱を見て、嫌な予感がよぎる。
「堀川と浦島とは会ったか？」
「あの二振りは天井裏に忍び込むのは難しいから、建物内に隠れながら部屋を探してる…」
「じゃあ今すぐ合流して___」
和泉守が路地を出ようとした瞬間、堀川と浦島が姿を現した。
「おい！あの娘はどうした！」
俯いたまま、目を合わせようとしない堀川。
それに何かを察した一期は、優しく堀川の肩に手を置く。
「辛いものを見たね
…忘れなさい」
一期がそう言うと、隣に立っていた浦島は何かを堪えるように静かに泣きだした。
「ごめんなさい、僕たち…何もできませんでした」
「君達はなにも悪くない。何も手助けができなくてすまない。」
堀川の肩から手を離した一期の手が怒りで震えているのを見て、五虎退は思わず問いかける。
「忍びさんは、どうなったんですか…？」
「4人は、先に本丸に帰っていなさい。」
「そんな…！ボクたちまだここにいるよ！まだ忍びさんを助けてな__」
「ここから先は大人のお仕事だ。
それに…お前達には先に本丸に戻って事情を説明しておいてもらいたい。
言う相手には気をつけてくれ。歌仙が加州あたりがいいだろうな」
「兼さん…」
「わかった、俺たちは先に戻る。
2人とも、よろしく。」
重苦しい雰囲気の中先に口を開いたのは、浦島。
「ほら、はやく帰るよ3人とも。」
「あっ、ちょっと待っ___」
乱が抵抗しようとした瞬間、浦島は本丸へのゲートを開き、4人はその場から姿を消した。
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作者名：にわ | 作成日時：2020年2月7日 19時
