俺達は女忍びを捕まえた。【刀剣乱舞】 (ページ21)

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その21 ページ21

朝餉を食べ終え、用意してもらった着物を着る。

「久しぶりにこんな服着るから、なかなかうまく着付けが...」

早く準備をしなければと焦れば焦るほど、手元が疎かになってしまう。

すると、

「失礼するよ」

と、障子の向こうから穏やかな声が聞こえてきた。

「どうぞ」

静かに開いた障子の向こうに立っていたのは、紫色の髪をしたあの青年だった。

「あ、えっと...歌仙さん、でしたっけ。」

恐る恐るそう聞くと、彼は少し嬉しそうに微笑む。

「あぁ、そうだよ。敬語なんて使わなくてもいいんだけどね。

君、着物を着るのは久しぶりだろうと思って手伝いに来たんだけど...案の定だったね」

恐らく相当酷い姿だったのか、彼は吹き出しそうになりながらそう言った。

「すみません、少し手伝っていただきたいんですが」

「任せてくれ」

彼はテキパキと慣れた手つきで着付けてくれた。

「やっぱりこの柄は君に似合うね。」

「ありがとうございます」

「乱をよろしく頼むよ。あの子はなかなか元気が良すぎて困るからね」

若干の呆れ顔でそう言う歌仙さんを見て、たしかにそんな感じの性格をしてそうだなぁと思った。

あの少女は乱という名前の子だったのか

「はい、気をつけて行ってきます」

私はそう答えて、乱さんが待つ玄関へと向かった。

.

「きゃーー！忍びさんったら可愛い！！

歌仙に着付けてもらったの？」

「よくわかりましたね、歌仙さんに手伝ってもらったんです」

「この姿を見れないなんて鶴丸さん気の毒だなぁ」

なぜここであの人の名前が出てくるのかはよくわからなかったが、自分のこの姿を見て喜んでくれたことが、なんだか純粋に嬉しかった。

「じゃあ、行きましょうか」

「うん！」

空は晴れていた。

自分にまたこんな平穏な日々が訪れるなんて微塵も思っていなかった。

でも、

始まったばかりのこの平穏な日々が突然終わりを告げるかもしれないなんて、私はこの時思いもしていなかった。