俺達は女忍びを捕まえた。【刀剣乱舞】 (ページ11)

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その11 ページ11

刀を置いた彼は、実に愉快そうに私を見つめる

「心理戦だ。」

「心理もなにもありません。」

恐らく、自身を助けた人を傷つけてまで強行突破をするのか、あるいは傷つけることを恐れて大人しくここに留まるか、どちらを選択するのかを見たいだけであろう。

私は静かに体勢を低くして、呟いた。

「相手を傷付けずに済む策だってありますから」

「何だって？よく聞こえな＿＿＿

うおっ？！」

青年の両隣に僅かな隙間があった為、手で捕まらないように素早くそこを通り抜けた。

相手もここまで私が早く動けると思っていなかったのか、少し驚いている様子だった。

無事に玄関を抜けたあと先ほどまで自分が居た場所を振り返り、軽くお辞儀をした。

「お世話になりました。」

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「......やられた。」

玄関に一人取り残された鶴丸はポツリと呟く。

「あーあ、行っちゃった。俺もっとあの子と話してみたかったのに。」

廊下の陰から一連の様子を見ていた加州は残念そうに言う

「鍛え上げられた忍びに勝てるわけがないだろう。
行っとくがあの娘には何を言っても無駄だぜ」

「何でそう思うのさ」

「”純粋にお前を心配しているだけだ”と伝えた所で、何も信じちゃいない。仕事柄仕方ない事だとは思うが」

「なにそれ、もしかして俺達全く信じてもらえてないの？」

「会って早々に”俺達を信じろ”って言う方が無理だろう」

俺達がここまで人間に対して過保護になってしまう理由は自分達でもよくわからないが、人の命は酷く脆く儚いものであるという認識を各々が強く持っているんだろう。

そのせいか、ここの部隊は戦場へ行った時も遡行軍を倒す前にまず人々を安全な場所は逃す事を欠かさずしている。

しかも、そのようにすぐに散ってしまうような命をボロボロにしてでも使える主の元へ戻らなければならないという過酷な使命を担っている忍びとなるとそりゃあもう一段と心配になってしまうのも無理はない。

だが、俺達があの娘をここに引き止めてどうする？
彼女には彼女の任務があるし、ここでずっと保護していたってそれが逆に彼女の不幸になることだってある。

「しっかり生き伸びてくれる事を願うしかないだろ」

「...まあね、生きる時代も違うから。」

それでも、あの心理戦で負けた事がなんとなく悔しかったのか、またどこかで彼女と出会うことを期待せずにはいられなかった。