く り か え し 【 Reo.S 】

嫉妬 ページ32

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「嫉妬した」




喉がヒュッと音を立て、詰まった


息をするのを忘れていて慌てて吐き出す




『佐野くんは…ズルいね』



胸を押し返し身体を離す
背中に回されていた佐野くんの腕は

私の肩、腕をなぞり落ちていく

指先まできたところで握られ、
ふと佐野くんの顔をみればとても辛そうな
………よくわからない表情だった



「あの人彼氏？」


『違うよ』


「好きなの？」



『………そんな事聞かないで』

「気になる」



上目遣いで私と目を合わせ"教えて"と言う

本当にこの人は私の扱い方をよくわかってる



でもなんでかな


嫉妬されて嬉しいはずなのに嬉しいと思わないの



佐野くんの事は大好き

愛してる




だけど感情とは別に、頭は酷く冷静だった



今までこんな事一度だって言わなかったくせに

私の前で平気で美月さんの名前を出すくせに


私より美月さんが大切なくせに





『佐野くん』


『私たちこういう関係になる前約束したよね』



『"お互いの本命"について詮索しないって』



佐野くんは目を見開き、喉を鳴らした
きっと私からこんな事言われるなんて
思ってもみなかったんだよね？



「あの人が、………本命？」



佐野くんの小さく掠れた声


別れる時一切泣かなかった佐野くんが
なぜか泣きそうにみえて胸が痛んだ



『……そうだよ』




裕太さんごめんなさい
嘘をついてしまいました…



何か考え込むように目を伏せ口を閉ざす佐野くん

さっきからいつもと違いすぎる
佐野くんの態度に頭が混乱してる



「やめる？」


"この関係を"


『やめないよ』



即答した私に拍子抜けした様に笑う



「本命いんのに？……悪い女」



『それはお互い様でしょ』





「ふっ、そうだね」





頬をなぞり佐野くんの唇に唇を重ねる



短く可愛らしいリップ音から
深くなる程に艶かしい音に変わっていく


服に手をかけた佐野くんに身をまかせ
ただ私は佐野くんにされるがままベッドに倒れ込んだ




佐野くん

私、ふっきれたよ


裕太さんのお陰で佐野くんの事が
大好きなんだって改めて思い知ることが出来た


なら私がすることは1つだけ

遊びでいいと望んだのは私なんだから



自分自身の心を殺して偽ることにした


意地でも"悪い女"になってやる



本命じゃなくていい

少しでも長く隣にいさせて







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