く り か え し 【 Reo.S 】

好み ページ27

.






『いっぱい買えましたね！！』

「そやな！作るん楽しみやわ」

『私もお店に並ぶ時が今から楽しみです』

「Aちゃんも作るんやで〜」

『あ！そうでした！！』




裕太さんと過ごす時間はすごく穏やかで楽しい

何度か離した手を繋ぎ直すくらい
裕太さんの手は心地よく暖かかった。



「行きたいとこ決まった？」

『うーーん、あ、ここみたいです！』


ちょうど横にあったジュエリーショップを指差す
特に欲しいものはなかったけど
裕太さんと一緒だったらなんでも楽しい気がした

でもそれを口に出せる資格なんてないから


「ええで、入ろか」



『わー、綺麗……』

「なんかええのないかなぁ」

『何か探してるんですか？』

「ネックレス新しいの買おかなて思っててん」



ショーケースに入れられた光輝くジュエリー達

ここのお店の値段はまだ良心的な様で
私でも手が出せる価格帯だ

プレゼント…してみようかな
どんなのがいいだろう


一際目立つ場所にあるショーケースの中
ゴールドのネックレスが目に止まった




『あ！これ、似合うんじゃ「ん？」

『あ……』

「これ？」

『は、はい……』

「うーん、あんまり買わへん感じやなぁ」

『で、ですよね！！他！見ましょう！』


そうだ、馬鹿だ私

無意識に佐野くんと重ねてしまっていた


今一緒にいるのは裕太さんだよ？



「これ、可愛いやん」

『え？』

「これこれ、」


裕太さんが指していたショーケースの中を覗く


『可愛い…』


シルバーの二連ブレスレット
もろに私が好きなデザイン


「Aちゃんこういうの好きやろ」

『どうしてわかるんですか！？』

「……好きな子の好みはわかるねん笑」




"

『どうして私の好みわかったの！？』

「好きなやつの好みくらいわかるし」

"




『っ、』

「え、Aちゃんどうしたん！？」

『なんでもないです』


私の意思とは関係なく涙が零れた






ねぇ、玲於



もう私の中から出てってよ






.

優しさ→←約束

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す