我が主はわがまま姫【巴日和】 (ページ14)

今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:25,205 hit

13話ページ14

sideA

日和さんが怒っている。
確実に怒っている。
前回の比ではないくらいに怒っている。
でも、何に対して怒っているかは分からない。

「あの、日和さん」

引っ張られるがまま歩く。
私の呼び掛けには答えない。

「日和さん」

まだ答えてくれない。
少し、怖い。
なんで、そんなに怒ってるのかわからない。

「日和さん！！」

日和さんの腕を両手で掴み足を止める。
それでようやく動きをとめてくれた。
周りには人の影がない。

「何を怒っているんですか？」
日和「……燐音先輩と何を話していたの」
「……え？」
日和「なんで僕以外の男にあんな顔見せてたの」

日和さんの手が私の両肩を掴む。

日和「なんで僕の知らないAを他の誰かに見せたのかな！！」

肩をぎゅっと掴まれ痛みを感じた。
だけど痛いとは言えない。

ただ、怖い。

「お、落ち着いてくださ、い」
日和「落ち着けると思う？」

手の力がまた強くなる。

日和「Aは僕の従者なんだよね？僕の…Aだよね？」
「それはもちろんですよ日和さん」
日和「じゃあ何を話していたのか言えるよね？」

言葉に詰まってしまう。
だってその会話内容を伝えてしまえば、私な日和さんに……主人に対して邪な感情があると伝えてしまうことになる。

「それは、言えません」
日和「……なんで？」

冷たい声だった。

「言えないものは言えません」
日和「何？僕に言えないような話をしていたの？」
「……」

日和さんの声が怖い。
怖くてたまらない。だけど、

「雇い主だからってなんでも言うこと聞くと思わないでください」

私にも隠したいことの一つや二つあるんだから。