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「リチャくんリチャくん」
リチャ「どうしたん？」
「一緒にコンビニ行かない？」
リチャ「えー、寒いやん」
「おーねーがーいー」
まだ肌寒い3月の夜。
半ば強制的にこたつから駆り出され、コンビニへと連行された。
リチャ「何買うん？」
「んー、お酒」
リチャ「珍し」
「リチャくん何かおすすめある？」
リチャ「それここで聞く？コンビニやで笑」
「仕方ないじゃんもう21時なんだもん」
リチャ「チューハイにしといたら？これとか」
適当にアルコール度数の低そうなものを指すと、Aは桃味の缶チューハイを手に取った。
家に帰るとさっそく缶をあけようとしているAをよそ目にキッチンの冷蔵庫を開ける。
「リチャくんも何かのもうよ」
リチャ「そう言うと思った」
グラスに注いだ焼酎を片手に俺もこたつへとはいった。
「それいつものんでるやつ？」
リチャ「そう」
「のんでみてもいい？」
リチャ「ん」
1口つけてすぐに顔を歪ませるA。
「…大人な味」
リチャ「Aにはまだはやかった？笑」
「これでも次25歳なんだけどな〜。」
リチャ「そのうち飲めるようなるよ」
「そのうちか〜…｣
この言葉Aにとってどれだけ残酷だったか。
その時の俺は知る由もなかった。
リチャ｢そんなとこで寝てたら風邪ひくで｣
｢…ん、今日くらいいいじゃん…リチャくんも｣
酔っ払っているのかただ眠いだけなのか、寝惚けたAが俺の腕をひく。
まあ1日くらいなら、そう思いAのとなりで横になった。
こたつの温もりは人を駄目にさせると言うように、次第に瞼も重たくなってくる。
｢来週から暖かくなり始めるんだって、春だよ〜晶哉も帰ってくるね｣
リチャ｢はやいなぁ｣
｢リチャくんは寒いの苦手だから早く来て欲しいんじゃない？｣
リチャ｢でも俺花粉症やし｣
｢たしかに笑 …私は早く来て欲しかったなぁ、｣
最後のAの言葉は朧気にしか覚えていない。
そのまま眠ってしまったから。
次に目が覚めた時には隣にAの姿はなく、テーブルの上にサンドイッチと"用事があるから少しでてきます。朝ごはん良かったら食べてね"と書かれたメモが置かれていた。
朝早くから出掛けるなんて珍しいとは思ったものの、
メモの内容はあまり気に留めずサンドイッチに手を伸ばした。
だけど、
Aが帰ってくることはなかった。
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作者名：うに | 作成日時：2024年3月11日 4時
