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末澤「ほんまに泊まって帰んの?」
「だからそう言ってるやんか」
改札越しにしつこく尋ねてくる誠也くん。
元々は同僚と日帰りの予定だった今回の旅だけど、昨日の夜急遽ホテルを取っておいて正解だった。
末澤「、じゃあま」
「"また"とかないから」
末澤「…お幸せに、」
「それ誠也くんが言う?笑」
末澤「あーもうなんやねんさっきから!こっちが色々気にかけてやってんのに!」
「それでいいねん誠也くんは笑 威勢よくてこその末澤誠也やん!」
電車の接近を告げるアナウンスがホームに流れる。
「電車、来るって」
末澤「…」
「扉閉まっちゃうで」
末澤「ほんまはAのこと、俺が幸せにしたかった」
発車メロディが鳴り、次いで扉が閉まる。
遠ざかっていく電車を見つめ、今日やっと失恋したんだと認識した。
鎌倉駅に背を向けて予約していたホテルへと向かう。
連絡先に残っていた"誠也くん"の欄を長押しして赤文字で書かれた消去をタップした。
そのまま上へとスクロールする。
見慣れた名前。
4コールめで繋がった電話。
「もしもし、今大丈夫?」
「来月有給取れそうやから、大阪戻ろうかなって思って」
「うん。話したいことあるし、」
「ん?なんもないよ、笑」
「じゃあ"また"連絡するわ、うん。ばいばい」
fin
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作者名:うに | 作成日時:2024年3月11日 4時