第73話 ページ35
その夏也の後ろから出てくる人々に、皆が目を見開いた。
「……母さん?」
「っ!」
「お母さん……!!」
「お父さん!」
「ヒヨリ!」
「……アヤノ」
皆が駆け寄っていく。
カゲロウデイズに呑み込まれていた人々。
夏也の説明によれば、出てこられたのAはAのせいだという。
少し離れた場所で、俺たちはその様子を見ていた。
「……蛇の力を纏めれば、次元を越える世界への移動も可能です。
ねーちゃんは移動の際に、"カゲロウデイズの住人の帰還"を
プログラムしたんでしょうね。
【 】の能力で」
「……今、なんて?」
「……だから" "の【 】ですよ。
ねーちゃんは3匹持っていたんです。貴方も見たでしょう、スガさん」
「……だから、なんて言ってるんだ?」
1部分だけが聞き取れない。
ノイズがかかっているようにそこだけが。
「アザミさん……」
「あぁ、小僧。
Aのヤツ……とうとう始めたか」
「始めたって…………何を」
忌々しそうに顔を歪めるアザミさん(推定マリーの祖母)を見る。
見回せば他のカゲロウデイズから来た面々も、重い顔だ。
……胸騒ぎがする。
「あいつ……Aは、カゲロウデイズに干渉した。
蛇たちがあいつに集まり、私がいない今、あの世界を制御する力をもって
カゲロウデイズを消滅させるつもりだ。
…………あのバカめ。
自らも消えることを知っているのか!?」
「へ……消え………………?」
「消えるよ。
カゲロウデイズに呑み込まれるのは何も精神だけじゃないんだ。
……体ごと持っていかれる」
夏也が平坦な声でそう言った。
けれどもその顔は酷く泣きそうになっている。
「じゃ、じゃあ……
もし、Aが……………カゲロウデイズをAが、消したら……」
出した声は震えていた。
脳を霞めたその考えを、答えを、否定してほしかった。
.
.
.
.
「あいつも死ぬ。
良くても……精神だけがさまよう様な、"実態の無い精神体"
としてこの世に残り続けるだろうな。
どのみち、人には戻れない」
目を閉じてアザミさんは言った。
あぁ、君に。
もっと早く想いを伝えていたのなら。
____結末はもっと変わっただろうか。
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作者名:ベルリラR* | 作成日時:2017年6月12日 16時