五十二話 ページ18
・
｢ねぇウタ、一人でここに住んでるの？｣
｢ううん。ゴードンっていう人と一緒に暮らしてるんだ｣
｢二人っきりなんだね。……ねぇ、ウ｣
｢それより！エレジアに来るのは初めてでしょ？色々案内してあげる｣
有無を言わせずウタは私の手を取り、破壊痕の残る道を歩いて行った。この島、エレジアについて尋ねてみると以前は音楽の島として栄えていたとか。
なら今の惨状は？と聞くと｢…何年も前に、滅んじゃった｣と呟いて口を閉ざされてしまった。
｢…ウタは何でこの島に残ってるの？｣
赤髪海賊団の歌姫が、どうしてここに居るの？
何かによって滅ぼされた島で、どうして暮らしているの？
ウタは私の問いをどう受けとったんだろう。
｢ほら、私って航海術とか全く無いからさ。いっその事ここに住んじゃえって｣と困ったように笑うウタは、少し悲しそうに見えた。
｢あのさ、ウタ。私ずっとここに残るわけじゃないから、今のうちに聞けるだけ聞いておきたいんだけど…｣
｢…｣
｢シャンクスは？｣
｢…私さ、さっきエレジアは滅ぼされたって言ったよね｣
｢うん｣
｢…やったの、赤髪海賊団なんだ。Aが船を降りてから大体一年ぐらいかな。私の為にこの島を訪れたんだけど、目が覚めたら国が滅びてて、皆は出航してて…私、エレジアに捨てられたんだ｣
ウタが淡々と告げた事実はとてもじゃないけど信じられなくて、言葉が出なかった。
シャンクス達がそんな事をするわけが無いってのはもちろんだけど、それだとウタを置いていく理由にならなかったから。
それにエレジアを滅ぼした理由は？財宝が目的ならこっそり盗めば良いし、そもそもシャンクスは堅気に手を出すような人間じゃない。何か裏があるように感じられる。
｢ウタは、本当にシャンクス達がやったって思ってるの？｣
｢じゃなかったら私を置いていくはずがない…！｣
何故か滅びたエレジア、置いていかれたウタ。…一瞬嫌な考えが頭をよぎるけれど、考えないようにして無理やり頭の中から弾き出した。
｢そういうAは？シャンクス達と会ってないの？｣
｢うん、一度もね｣
その後も互いについて簡単に語り合っているといつの間にか古城にたどり着いていて、そのままウタに手を引かれゴードンさんにも会って挨拶をした。
国が滅びていることを除けば衣食住はそこまで困っていなかったようで、行く宛てが無いのとウタの件もあってしばらくはこの島に滞在することにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マシロ＿mashiro(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！やっぱり仲違いしたままは後味が悪いですもんね。最後までご愛読ありがとうございました(*´▽｀*) (2023年5月8日 7時) (
レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - コメント失礼します！ 一気読みしてしまいました。最終的にそれぞれの、気持ちを話し合って和解できて良かったなって思いました。とても、面白かったです！！ (2023年5月7日 23時) (レス) @page50 id: 18462604da (このIDを非表示/違反報告)
マシロ＿mashiro(プロフ) - 文ストオタクの一般人さん» 過保護になりすぎないように執筆していたはずなのにいつの間にか…妄想って怖いですね笑、どんどん拡がっちゃいます。ご愛読ありがとうございました！ (2023年3月14日 16時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 皆過保護だけどマルコがｗｗめっちゃ良かった！、、、です！ (2023年3月14日 8時) (レス) @page47 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ＿mashiro(プロフ) - 桔梗さん» そう言っていただけると執筆したかいがありました！最後までお付き合い頂きありがとうございます！！ (2023年2月10日 18時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マシロ＿mashiro | 作者ホームページ：http:
作成日時：2023年1月7日 15時
