【第五人格】誰かこのセコム達を止めてくれ

十八話 ページ20

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｢…美智子さん｣

｢どうしたんや？何かあった？｣


咄嗟に美智子さんの部屋に来てしまったのは良いけど、どうしよう。

確かに私と美智子さんは唯一の日本出身として何度も茶会などを開いてきた。けれどそれは事前に約束を取り付けているからであって、今回のようにアポ無しでやってきたのは初めてだった。

…迷惑じゃないだろうか。

そんな事を思いながら部屋に入るけど、暖かい表情で迎えてくれた美智子さんを視界に入れるとそんな事全てがどうでも良くなった。


｢美智子さん…！！｣

｢わっ、と｣


気づけば私は美智子さんの胸に飛び込んでいた。


｢私、私ぃ…！！｣

｢よしよし。ゆっくりで良いからな｣


美智子さんに促されるまま、私は先程の出来事を伝えた。
ナワーブにここに来る前の事を聞かれ、罵声を浴びせてしまったこと、全部。


｢ナワーブは悪くないのに、八つ当たりしちゃって…！！｣


ナワーブが日本での出来事について聞いた理由はだいたい分かってる。彼は私に好意を持っているから、ただそれだけ。

好きな人については何でも知りたいって思うのは当たり前。ただの好奇心だったってのも分かってる。

分かってたのに…。


｢…Aはんは、ナワーブはんの事、嫌いなんか？｣

｢………嫌い、では無い｣


普段はウザったらしい奴だけど、それでもナワーブは良いやつだ。これまでの日々がそれを証明している。


｢なら、素直に謝ればええんよ｣

｢…｣

｢大丈夫、ナワーブはんならきっと許してくれる｣


＿＿＿それとも、Aはんは彼を信じれないんか？

美智子さんの言葉が頭にストンと入り込む。
私は、ナワーブを信じれるのか。

…決まってる。


｢信じる…｣


ぽつりとそう言葉を漏らせば、美智子さんはうんうんと満足そうに頷いた。


｢それでええんや。さ、お行き｣

｢うん。ありがとう美智子さん｣


素直に謝る、か。
…やってみよう。







(…行ったな)

(ナワーブの奴、今度は何やらかしてんだか…)

(まぁ、とりあえず、アイツらのところに戻るとするか)

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