四十一話 ページ43
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「ん……寝てた?」
大きなあくびをしながらゆっくりと起き上がる
あれ、何でベッドに寝て……
今は何時だろうと時計を見ると、夜の十時になっていた
ソフィアの背景推理を見た後、疲労から寝てしまったんだろうか
でも、ベッドで寝た記憶は一切ない
何なら背景推理を見たあたりまでしか覚えていない
ベッドから降りて、テーブルの上を何となく確認すると
先程まではなかった置き手紙が置かれていた
"そのままだと風邪をひくからベッドまで運んだけど、勝手に部屋に入ってごめんね。冷えてるけど夕食を取って置いてるから食べてね"
_Eli Clark
どうやらイライが運んでくれたらしい
…でも何で部屋に?
「もしかして…」
エマやウィリアム、エダの様子を見て心配したのかな?
それで私の所に行ったら寝ていたため、ベッドに…
本当に良い人だな、と思わず顔をほころばせる
「お言葉に甘えて食べようかな」
…お腹すいたし
あんな事があったからもしかしたら食欲無いかも…と少し心配したけど、お腹は正直でキュルルと音が鳴った
廊下に出ると、ほとんどの人は寝てしまったのかシーン…と静まり返っていた
昼間はあれだけ騒がしかったのに、当たり前だけど夜になると物音一つしないと何だか落ち着かなくて、思わずぶるっと体が震えた
…別に暗いのが怖いとかお化けが出そうとか考えてるわけじゃないから決して勘違いはしないで欲しい
月明かりを頼りにダイニングルームまでたどり着くと、うっすらと明かりが着いていることに気づいた
誰かいたのかな…?
「…」
いや、居たんじゃない。"居る"んだ
テーブルクロスがかけられた長テーブルの上を見ると、まだ食べかけの料理と水の入ったコップが置かれている
…誰だ?
その時、何者かに思いっきり体を捕まれ、そのまま地面に叩きつけられる
「っう…」
「誰だ」
警戒するような低い声で、暗闇の中耳元で囁かれる
一度聞いたことがある声なのに、パニックになった今の状態で頭が働く訳もなく、嫌な汗が頬を伝う
「そ、っちこそ…誰」
「あ?」
もうダメだ、と思った時
急に窓から入ってきた月の光に照らされて、その人物の正体がわかった
「ナワ…」
名前を言いかけた所で口を閉じる
イライにも言われたこと "名前の呼び方"
ソフィアはイライの事をイライと呼ばないと言っていた。あるとすれば…クラークさんとかだろう
ナワーブの場合は?分からない
つまりこれは、絶対に名前を呼んでは行けない
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いちゅご - うっわぁー、今作もなかなか素っ晴らしい作品ですことぉ、いやー頑張って下さい!応援しますね! (2021年12月8日 6時) (レス) @page37 id: 64d6b8d47d (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 面白いです!前作から来ました!今作も更新頑張ってください!応援してます! (2021年12月7日 19時) (レス) @page36 id: f8a065d408 (このIDを非表示/違反報告)
水1000 - 新作おめでとうございます。前作と対照的なんですね。とても素敵です! というか、好きです。更新は無理せずにのんびり頑張ってくださいね。 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 7eeeabd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
シロツメココロ - 大変遅くなりましたが、新作おめでとうございます! ストーリーがとても素敵で引き込まれるような…面白い作品です。更新頑張ってください。私も学生なので、無理にとは言えませんが (2021年12月4日 12時) (レス) @page21 id: 17dcd8da60 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - とってもとっても好きです、、!更新楽しみに待ってます、頑張ってください! (2021年11月29日 17時) (レス) @page24 id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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