九話 ページ11
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…今からエマは先程の出来事をエミリーに話すんだろう
"ソフィアさんに花を潰されそうになった"ってね
「…っ」
はっきりいって、理解が追いつかない
だって、今までそんな素振り誰からも…
「…さっきの試合」
マーサの態度は明らかにおかしかった
それなのに私は気のせいで終わらせていた
「…トレイシーとウィラ」
試合中、ゲートに向かってトレイシーと会った時彼女はこう言ったはず
『あ、マーサ!さっきはナイス救助だったよ』
試合後、ばったり会ったウィラはマーサにこう言った
『あら、マーサ。さっきの試合では助かったわ、ありがとう』
確かに救助をしたのはマーサかもしれない
でも、そう操作したのは私であってマーサの意思じゃない。私があのまま試合の事に気づかなかったらマーサはただの戦犯、いや利敵になっていた
特にウィラの時は目の前に私がいるのに一言も話しかけようともしなかった
「…話しかけたくないぐらい、嫌いなのかな」
皆から嫌われている。そんな現実を認めたくなくて、現実逃避をするようにその場を離れる
…けれど、現実というのは残酷で、さらに私に追い打ちをかけてくる
部屋に戻ろうとしている時、お腹がすいてきたため何か食べようと広間に向かった。それが間違いだった
「おい、イライ」
誰かの低い声。でもこれは聞いた事がある
傭兵 ナワーブ・サベダーの声だ
キャラストーリーで軽く興奮しながら聞いていたのを思い出す
「どうしたんだいナワーブ。そんなにカリカリして」
イライはさっきと変わらない調子でそう返す
何故か聞いてはいけない気がしたけれど、好奇心が勝ってしまい聞き耳を立てた
「何でさっきあの女と話してたんだよ」
「あの女…あぁ、ソフィアさんの事かい?」
ドキッと心臓が跳ねる。私の話をしていたんだ…
嫌な予感がする。
これ以上はダメだと頭が危険信号を鳴らす
「同じ建物で過ごす以上、必要最低限の関わりは持たなくてはならない」
「仕方ねぇって言いたいのかよ。っは、俺はそんなのお断りだね」
ダメだと思っているのに体が動かない
これは好奇心とかじゃなくて、これから言われるであろう事実が怖くて動けなかった
「俺はあんな女」
やめて、もうこれ以上は…
そんな思いも虚しく事実は告げられる
「大っ嫌いだ」
ガンッと頭を鈍器で殴られたような気がした
それくらいショックだったから
「…」
今はただ、逃げたくて
何も分からないままがむしゃらに走った
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いちゅご - うっわぁー、今作もなかなか素っ晴らしい作品ですことぉ、いやー頑張って下さい!応援しますね! (2021年12月8日 6時) (レス) @page37 id: 64d6b8d47d (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 面白いです!前作から来ました!今作も更新頑張ってください!応援してます! (2021年12月7日 19時) (レス) @page36 id: f8a065d408 (このIDを非表示/違反報告)
水1000 - 新作おめでとうございます。前作と対照的なんですね。とても素敵です! というか、好きです。更新は無理せずにのんびり頑張ってくださいね。 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 7eeeabd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
シロツメココロ - 大変遅くなりましたが、新作おめでとうございます! ストーリーがとても素敵で引き込まれるような…面白い作品です。更新頑張ってください。私も学生なので、無理にとは言えませんが (2021年12月4日 12時) (レス) @page21 id: 17dcd8da60 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - とってもとっても好きです、、!更新楽しみに待ってます、頑張ってください! (2021年11月29日 17時) (レス) @page24 id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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