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『おいしい///』
いつの間にやら隣に腰かけた女の子に、尚も何かを感じ取っていた俺は必死に記憶を辿る
どこだ？どこで逢ってる？
…まさか、いつかの失敗でこの世に存在してしまった子供、なんて事では無いと思う。絶対に接触したハズだと断言できる子だ。
『どうしたの？お腹痛いの？』
「あ、…ううん。考え事してただけ」
『なんだ、びっくりした！』
あはははは、と屈託無く笑って。…けどすぐに口をつぐむ
「どうしたん？」
『…大声で笑ったらママに叱られるの』
「夜だから？」
『ううん。朝でも、学校でも』
「なんで？」
『あたしはピエロだから喋っちゃいけないの』
「なんで？」
『え、…だから、、、あたしはピエロ…
「違う…。そうじゃなくて、なんでそんなに絶望ばっかり背負ってるん？」
『…ゼツボー？？』
「…君、…この間俺に風船くれたピエロやろ？」
今のでようやく気付いた。それを証拠に、今ジャッキーが横付けした車の助手席に座ってゲームに熱中しているトッポを見て『あの時のお兄ちゃん？』って聞いてきたし。
「そうだよ。あの風船ちゃんと渡したからね。ものすごく喜んでたよ」
『わぁー、良かったぁ。メガネのお兄ちゃん、あの時とっても悲しい顔してたから気になってたんだー』
「ありがとう。君のおかげですっかり元気になったよ」
『あたしも///』
「？？」
『おにいちゃんに貰った飴のおかげで元気になれた///』
「…そんな、、、」
ファン、ファン、
「あ、…もう行かな」
なににせよ、同じ場所に長居は禁物のセカイ。
けど、この子はどうする？
今もだが、これからも…
「ねぇ、…ママの事好き？」
『うん。大好き！』
「…飴の袋も開けられない子供を暗闇に待たせて、自分は天国に行きたいと願っている母親でも？」
『え？』
「笑い声を奪われても？」
『…よくわかんないけど、やっぱり好きだよ？///』
「そうなんだ…」
「割り切れたと思ってたのにな」
後部座席でそう呟けば、ジャッキーがミラー越しに心配してくれてるのがわかった。けど、あえて目を逸らす。
俺は、…あの子のためにあのオンナを本当の天国に連れて行く事は出来なかった。
…まだこのセカイに染まり切れてなかった。
別れ際に「もしツラくて我慢出来なくなったら、あの公園で待ってて」としか言えなかった自分に腹が立った
end
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作者名：青菜はやと
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年10月5日 22時
