第三十七話 ページ38
「なんで……首を飛ばしたはずじゃ……」
「あー、僕にそれだけじゃ勝てないよ?僕はどんな怪我でも治すことができるんだ。」
どんな怪我でも……それじゃ祓う方法なんてないんじゃ……
「次は僕だね!いくよー」
その瞬間、呪いの拳が一瞬で目の前まで近づいてきた。
刀でガードするが、力が強く、後ろに吹っ飛ばされる。
「化け物かよ……」
「君やるね!大抵の呪術師はこれで殺られるのに!」
「そりゃどうも!」
刀で呪いの体に斬りかかるが、右腕で刀身を止められる。
「マジかよっ……!」
呪いの左パンチが僕の顔に襲いかかる。
咄嗟にもう一つの人さし指の指輪を盾に変形させ、呪いのパンチを防ぐ。
「そんなのも隠してたんだね!それにこの盾、めちゃくちゃ頑丈じゃないか!」
呪いは嬉しそうにニヤケながら話す。
僕は一度、盾を解除し、呪いから離れる。
陰先桜なら奴の体を斬れるかもしれないけど、斬っても治されるんじゃ拉致があかない……
治した時に奴の呪力は少し減ってるけど、それは術式を使う僕も同じ……根比べをしたら絶対に僕は負ける……なら!
「僕の術式はちょっと特別なんだ。」
「……?何の話だい?」
「僕は人の術式を使えるから僕の術式を今まで使うことは無かった。リスクも高いし、なにより呪力出力が大きいから呪力もごっそり持っていかれる。」
「誰も小難しい話を聞きたいわけじゃないよ……」
「まぁ、ちょっと聞いてくれよ……僕の術式は虚空。つまり、僕が対象に決めた物の間には何も無い空間が広がってるんだ。そして、その空間に君を閉じ込めることもできる。」
「……何を言いたいんだい?」
「じゃあ君にもわかりやすいように、ちょっと僕を殴ってみな。」
「じゃあお構いなく!」
呪いのパンチは僕に届くこと無く、空中で黒い輪の様なものに呪いの腕は呑み込まれる。
「なっ!?なんだこれ!?」
「それが虚空と呼ばれる空間だよ。その中はどこにも繋がっていない。
ただ、真っ暗な何も見えない空間が広がってるんだ。
そして、僕の術式は虚空…つまり、別空間を操ることができる。こんな風にね!」
呪いの腕は二の腕辺りからブチブチと嫌な音を立てながらねじ切れた。
「ふーん……けど、それがなんだって言うの?こんな怪我普通に治るよ」
宣言通りに呪いは瞬時に新しい腕を生やし、先程のダメージがなかった事のようになった。
「僕が虚空を作り出せるのは僕の周りだけと言ったかい?」
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時