第三十一話 ページ32
「だ…だだ、大丈夫ですよ!今日から三日間休み貰いましたし、それにほら!僕、特級呪術師だから他の人より頑張らないと!みたいな……」
「呪術師始めて二ヶ月のやつが調子乗ってんじゃねーよっ」
真希さんから頭に軽いチョップをくらう。
「いてっ!すみません……調子乗りました……」
そうだよ……始めたばっかの僕が特級呪術師とか肩書きで調子乗ったこと言ってちゃいけない……
それに伴う実力をつけないと!
「それより、島根の任務はどんな感じだったんだ?」
「えっと…森に呪霊が大量発生してて、強くはなかったんですけど、それなりに疲れました。」
「どんな呪霊だったんだ?詳しく教えてくれよ。」
「特級一体と一級が五体。準一級〜準二級ぐらいの呪霊が九十五体くらいですかね?」
すると真希さんの顔がだんだんと引きつっていく。
あれ?もしかしてまずいこと言ったかな…?
もしかして!そのぐらいの呪霊倒したぐらいで調子乗んな的なやつ!?
特級倒したから褒めてくれると思ったけど、やっぱり真希さんの事だしそれぐらい余裕だよな……恥ずかしい…!
「やっぱりお前は働け。私の分までいっぱい働け。」
「はい!真希さんの為なら台風の日でも働かさせていただきます!」
ビシッと背筋を伸ばし敬礼の構えをとる。
真希さんは突然クスクスと笑いだした。
なんかまた変な事言ったかな…!?
「よろしく頼むぜ!A特級呪術師さん!私も任務入ってるから行くわ!じゃあな。」
肩をパンと叩かれ、笑顔で真希さんは任務に向かった。
彼女と話す時間はとても楽しくて、面白い。
話し方とか性格とかは全然違うけど、母さんのような温もりを感じさせてくれる。そんな人だ。
「いい感じじゃねぇーか!え?一条さんよぉ」
通路の曲がり角から声が聞こえ、角をよく見るとパンダ先輩がこちらをじっと見ていた。
「覗きですか?……許されるのは本当の動物だけですよ!」
「まぁ、そう怒るなよ!真希があーゆう感じになるの、お前か乙骨と居る時なんだよなぁ。ま、乙骨に負けないようにガンガンアプローチしていけよ!」
パンダ先輩はグッと親指を立てて、そのままどこかへ行ってしまった。
アプローチって……僕は真希さんにそんな感情を持ってはいない。
それに、もし僕が真希さんを恋愛対象として見ていても彼女に好かれることは絶対にない。
だってそうだろ?あって一日目の奴に蹴りとパンチ食らったら嫌でも嫌いになるわ!
だから…恋愛感情は絶対にない……
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時