第二十六話 ページ27
「ありがとう…もう大丈夫…」
母は僕の隣に座り、泣き止むまで抱きしめてくれた。
今までの寂しさがなかった事のように感じるくらい…僕の心は暖かさでいっぱいだった。
「A…学校での…一般人三人を俺達が呪い殺した話…本当にすまなかった…」
「うん…でも、なんで父さんが人を…」
「お前の中に入り込むまでは俺達はただの呪いとして漂ってたんだ。お前の中に入った時も少しは自我を取り戻せたが、完全にとはいかなかった…そのせいで彼等を殺してしまった…」
「私からもごめんなさい…自我が無かったって言ったら言い訳になるかもしれないけど…そのせいで貴方に罪を負わせてしまった…」
父と母は僕に深く頭を下げる。
「ううん…これは僕の問題だよ…二人は悪くない…僕がこれから罪を償っていくから…それよりも聞きたいことがあるんだ。」
「ん?なんだ?」
二人は頭にはてなマークを浮かべそうな顔をしている
「なんで、急に二人が靄から出てきたの?僕の中に入ってたんじゃ…」
「…俺達も分からないんだ…お前が怒った時はいつもならお前と俺達の精神が入れ替わるんだが、今回の場合は外に出てこれた…」
三人ではてなマークを浮かべていると五条先生が口を開く
「呪霊の完全顕現じゃないかな?何かの条件を満たして、二人が現れた…契約か、それとも他のなにかか…」
父は顎に手を当て、考える素振りを見せるが3秒ほどで辞め、僕に少し悲しそうな顔を見せる
「そうか…でも、もうそろそろ時間みたいだ。」
「え?もう!?」
「あぁ。五条の言うこの状態が完全顕現の状態なら10分も持たない…それに、身体の力がだんだんと抜けていくのがわかるんだ…」
いやだ…もっと話したいことがいっぱい…あるのに!
「いやだ……まってよ!」
「大丈夫よ…私達は貴方の心の中にいる…貴方の成長を心の中から見守ってるわ」
「そうだ…A…手を出せ」
……?よく分からないまま僕は掌を上に向けて、父に差し出す。
その後に父と母が上に手を乗せてくる。
「俺達の呪力をAに託す。」
…二人の暖かい優しい力が手から流れ込んでくる。
「それと、これもAに渡すわね」
母は首に巻かれていたクローバーーネックレスを外し、僕の手の上に置く。
「このネックレスは私が一生懸命作った魔除けのネックレスなの…これを着けてれば夏油なんかにも負けないわよ!」
「そろそろ時間だ…じゃあな…」
「うん…!ありがとう…さよなら」
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時