第十四話 ページ15
一条に禪院が斬りこんだと思われたが、間一髪で体を後ろに反らして槍の斬撃を躱す。
「なっ!?」
次は一条が禪院の顔に一発拳を入れた後、腹に蹴りを決め込み、禪院は校庭の木まで吹っ飛ばされ、幹にぶつかる。
「がはっ!なんだ…?呪力が……変わった?」
「こりゃ……不味いことになったね……」
一条の目は赤く染まっており、身体はダランと上半身の力が抜けている。
「真希!休んでおけ。ここからは僕が相手をする」
「まさか……あれが一条の特級過呪怨霊…ですか?」
「そうだね……命の危機を感じて、表に出てきてしまった。Aも抗う暇もなく、持っていかれたんだね。」
一条は五条に向かって刀を斬りつけに行くが、刀を素手で止められる。
「痛いかもしれないけど……ごめんね!」
五条の掌底が一条の腹を殴打する。一条の口からは赤い鮮血が飛び散り、木をなぎ倒しながら一条が吹っ飛ぶ
「や…やりすぎじゃ……」
「これぐらいじゃないと彼も止まんないでしょ!大丈夫。絶対に殺さないよ」
木が五本ほど折れたところで一条が止まった。
砂埃で一条がどうなったかは二人の目には見えない。
「真希!気をつけろよ!」
「お、おう!」
砂埃がふわりと揺れ、何かが砂埃を掻き分けている。
砂埃からは一条の斬撃からの呪力を飛ばす技が五条を襲う。
五条はその技を難なく躱し、迎撃態勢に入る。
だが、一条の姿はどこにも見当たらず、砂埃がはれても姿は見えない。
「五条さん!上!」
禪院の声が聞こえ、五条が上を見ると一条が猛スピードで上から近寄ってきている。
「グガァァァ!」
獣の様な声を上げながら五条に向けて刀を振り下ろすが、五条はひらりと刀を躱す。
五条は一条を上空へ蹴り上げ、己もジャンプし一条を空から地面まで頭を殴り叩きつける。
「グッ……ガハッ!」
身体が地面に大の字にめり込み、口から血を吐きながら一条は気を失い、身体から力が抜けた。
「ふぅ……大丈夫かい?真希」
「はい……それよりも、あいつ……大丈夫ですか?」
禪院は地面に埋もれて倒れている一条の心配をする。
「多分大丈夫だよ。一応手加減もしたし、それにあの呪霊は傷が治るのが早いんだ。」
五条は御札を取り出し、一条の顔を札を貼り詠唱を始める。
一条は最初は苦しみ出すが、すぐに落ち着きを取り戻しぐっすりと眠っているように見える
「何をしたんですか?」
「Aの中に抑え込んだだけだよ。」
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時