第十三話 ページ14
「乙骨の時みたいに解呪は出来ないんですか?」
禪院さんは五条さんに視線を戻し、解呪の方法を聞く。
横顔を見ても本当に綺麗な女性だと感じた。
「今のところはわからない……まず、この呪霊は乙骨の折本里香とは別物なんだ。姿形をもたないし、Aの精神が乗っ取られない限り、暴れることも無い。」
「なるほどね……で?私が呼ばれた理由は?」
「Aは呪具を使う。で、呪具の扱い方は真希……君が彼を鍛えてくれた方が強くなる。」
「呪具をね……おい、一条……外に出ろ」
首を扉の方にクイッとむけ、禪院さんは外に向かう。
僕もその後をついて行き、昨日伏黒君の式神と戦った校庭に着いた。
「呪具を出せ。持ってんだろ」
禪院さんは持っていた槍をこちらに向け、構えを取る。
僕も指輪に呪力を込め、日本刀の黒刀に変形させる。
「いい刀じゃん……他の呪具は?」
「まだありますけど、この刀一本の方が動きやすいです。」
「そうか、じゃあ死ぬなよ…!」
禪院さんは一瞬で間合いまで詰めてくるが僕の刀は届かない間合いだ。
槍のリーチを活かし、嫌な間合いで突いてくる。
避けるのに精一杯だ。
「槍はリーチだけじゃないよ!」
顔の横を槍の刀身が通ったと思ったが、そのまま横に槍を振られ、頬に刀身が擦る。
そのまま禪院さんから後ろに飛び距離をとる。
恐らく一瞬でも、反応が遅れてたら死んでた……
「……殺す気ですか……」
「は?当たり前だろ。これは命の取り合いだろ」
そうか……そういう事ならこちらも容赦はしない…
居合の構えを取って体内に流れる呪力の流れをMAXまで速くする。
これをすることで身体能力が一時的に大幅に上げることができる。
「お前の全力見せてみろよ」
「死んでも……文句言うなよ…!?」
刀の刀身に呪力を込め、横薙ぎの斬撃を飛ばす。
予定通りに禪院さんは上に飛び躱した。
そこからジャンプをして一気に間合いを詰める。
(きた!僕の間合いだ!)
刀を禪院さんの腹に目掛けて切り込むが、槍の柄を使い、僕の刀を止める。
「そ、そんな!?」
「気を抜くんじゃねーよ!」
顎に禪院さんの下からの蹴りが入る。
脳が揺られされて、地面にしっかり着地するのに精一杯だ。
立つことができない。
「おら、立て。一条。そんなんじゃ呪いのひとつも祓えやしねーよ。」
刀を杖替わりに立つが、視界がグラグラと揺れて気持ち悪くなる。
禪院さんに一気に間合いを詰められ槍が目の前に近づいた瞬間に僕の意識は飛んだ。
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時