第十一話 ページ12
「ごめんね。こんな事聞いて……でも大事なことなんだ。」
乙骨さんの目はさっきの優しい雰囲気ではなく、真剣な目をしていた。
「いえ、その……実は僕の呪いは姿も名前も分からないんです……」
「そうなのかい…?」
「はい…僕自身には黒い靄に見えて、五条さんも姿は見ていないと…」
「……僕が掛かってた呪いはね…昔仲が良かった幼馴染の里香ちゃんって子が僕に入っていたんだ。」
「……じゃあその子は……」
「そう。小さい頃里香ちゃんは交通事故で死んでしまった。その時里香ちゃんの呪いを貰ったと思っていた。けど、本当は死ぬ瞬間僕が里香ちゃんに死ぬなって呪いを掛けてしまってね……実際に呪いをかけたのは僕だったんだ。」
「え?どういうことですか?里香さんに呪い?」
「僕には小さい頃から呪力があってね…それのせいで里香ちゃんを成仏させずに化け物に変えてしまった。五条さんから聞いたんだけど、君も小さい頃から呪力を持ってたんだよね?」
「は、はい。幼い頃から霊と人間の区別がついてなくてよく両親に怒られていたと親戚から聞きました。」
「聞いた?今、ご両親はいないのかい?」
「死にました……4歳の時に。交通事故で。」
「……その時君は何してたの?」
「事故現場に居合わせてたそうです……僕の記憶には無いんですけどね……」
「……こんなことは言いたくないけど……君の呪いは……」
「乙骨さんの言いたいことは分かってます!けれど、そんな事…今は信じたくありません……」
そう……信じたくない……まさか僕にかかっている呪いが両親の可能性があるなんて……認めたくない。
感情が昂って目に涙が浮かんでくる。
「……ごめんね。今日はもう遅いから帰るね。おやすみ。」
乙骨さんは少し悲しそうな声で僕に謝り部屋を出て行った。
「本当に……母さんと父さんなのか?答えてくれよ……」
自分の呪いに語りかけてみるが、なんの反応も無く、ただの虚しい独り言で終わった。
頼む……答えてくれ……違うと言ってくれ……
遺影で見る父さんは写真からでも威厳が出てカッコよかった。
母さんはとても優しそうな顔で笑っていてめちゃくちゃ美人な母さんだった。
ただ、二人の記憶は僕の中には何も無い。あるのは遺影を見て思った感想だけ。
本当に僕の呪いは母さん達なのか……?
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時