Ep.4 ページ6
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『───なに、してんの』
学校へ行くまでの近道を通ろうとしていたというのに、これじゃあ近道どころか遅刻決定ではないか。
「何だァ?マブイお姉さんじゃねぇの」
道端に倒れた今井くんと、それを取り囲むグレーの制服。開久高校だ。
今井くんは紅高の番を張っているくらいだもの。
ちょっとお馬鹿さんだけど腕は確か。
なのにこんな状態ってことはきっと、後ろから角材で殴られでもしたのだろう。
『今井くん大丈夫、座れる?』
「聞いてんのかオイ」
『今井くん、ちょっと痛いけど我慢してね』
「おいコラ、スケバン」
『聞いてねぇよ誰だよてめぇ』
「あァ!?」
おっと危ない、血が騒いだゼ。
『・・・こんなやり方、アイツが許すの?』
こういうやり方、嫌ってたじゃない。
治外法権の高校に入学しちゃえば考え方さえも変わっちゃうっていうの?
「アイツって誰だよ」
『あんた達の頭よ』
「頭って、さと────」
──────ドサッ
「三橋選手、見事な着地ッ」
ある意味、ナイスタイミング。
銀髪の彼は下敷きとなり、華麗にポーズを決めた金髪の彼はマイペースにインタビュー。
「どうでしたか、三橋選手の着地は?」
当たり前だけど、呆気に取られて誰も答えられない。
「金メダルでしょうがァ!!」
『わぁお、』
目の前で始まった乱闘にちょっとだけワクワク。
・・・三橋くん、ちゃんと強かったんだ。
「・・・ゔぅ〜・・・、」
『あ、今井くん気が付いた?
今三橋くんがね・・・ってどこいくの!』
仕方なぁい!!とかなんとか叫びながら、今井くんは三橋くんに掴みかかる。
「てか俺にはAさんがいるしィ!!」
「いやお前フラれっぱなしだろ?」
「フラれてはねェ!!」
「でも一方通行じゃねェかよ」
・・・今ここでする会話じゃないよね。
片方頭から血ィ流してんですけど。
『あんまり叫ぶと血管切れるよ』
「既に切れてるだろ」
「Aさんが手当てしてくれるなら血管なぞいくらでも切ります!!」
『いや病院行こっか』
そして一旦落ち着こうか。
どう どう、と彼を宥めていると。
「────・・・どうなってんだこりゃ」
ああ、最悪だ。
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くま(プロフ) - 面白いです!あの少年との絡みが気になるんですけど、続きってないんですか? (2022年7月13日 23時) (レス) @page33 id: 65408d9878 (このIDを非表示/違反報告)
のて - 今井さんオチがいいです!これからも応援してます! (2020年9月6日 22時) (レス) id: 33a7fd7eb5 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - うっ!よき!あのできれば片桐くんオチでお願いします………続き待ってます (2020年8月19日 13時) (レス) id: 15ac95c4ae (このIDを非表示/違反報告)
アミ(プロフ) - 私的には片桐くんオチがいいです。更新止まってるけどすごく面白いので続き楽しみにしてます! (2019年8月30日 14時) (レス) id: f2af3865a5 (このIDを非表示/違反報告)
ちはな(プロフ) - 今井さんオチがいいです!!お願いします!!私今井さんのこと大好きなので!!この作品ほんとに面白いです!!更新楽しみにしてます ! (2019年4月18日 19時) (レス) id: 761b774a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年3月26日 11時