ヤンデレ乙女ゲームのヒロインに成り代わったけど。【鬼滅の刃】

「女神」 ページ9

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「…ｯあ"っ、」



がっと爪が 強く肩に食いこんだ時だった。



「煉獄さん、その女の子痛がってます。やめてください。」



煉獄杏寿郎の手が緩んだ瞬間に体を振り払って袖で涙を拭い、布団の中に逃げ込んだ。
ヒリヒリと痛む肩を抑えながら涙がとめどなく出てくる目を袖で抑えた。


「煉獄さん、彼女は患者なんです。まだお腹の傷も治ってないのに何て事をするんですか」


布団の上から優しく撫でられる。手の大きさからして胡蝶さんに違いないだろう。ガタガタと震える体が少し収まった気がするけれど、相変わらずお腹と肩の痛みは止まない。



「(私はこれから生きて行けるのかな)」




ふとそんなネガティブな事を考えてしまい、9人の攻略対象が脳裏を横切る。中には煉獄杏寿郎よりも酷いものだって居ない訳では無い。

そんなことを想像してしまえば、再び涙がとめどなく溢れ出てきた。


「(怖い……)」


ただひたすらに自分の体を包み込む様に両手で抱き締める。
友人に逢いたい、ポムに逢いたい。家族に逢いたい＿。

1晩で異世界へ飛ばされ、ヤンデレ達に愛されることを余儀なくされる。回避を探そうとしても、プログラムは強制で動き出し、抗う事を許してくれない。すればする程彼らの束縛は強くなっていく一方であり、心が折れそうになったその時、


「…もしもし 大丈夫ですか？」


「……な、なんで」


布団がぺろんとめくれられ、胡蝶さんと目がパチリと会う。すると肩がヒリヒリと痛み出したと共に煉獄杏寿郎が脳裏に浮かぶ。

ぞわりと鳥肌をたてた私に言ったのだ。




「あら、そんなに怯えなくても大丈夫です。」




「煉獄さんなら、何処かへ行ってしまいましたよ？」




「……有難う…ごさいます」




すると胡蝶さんは「気にしないでください」と言ってこの時代の絆創膏なるものや塗り薬を取り出し、私の肩を覗きこんだ。美人に肩を覗かれるって少し恥ずかしい。


「煉獄さんがどうして貴方にそんな事をしたのか聞かないでおきます。」


その気遣いに胸がジーンと暖かくなり、思わず涙が溢れてしまった。今日は泣き過ぎだ。






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