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いつもより正装で、いつもより気合を入れてメイクして、いつもより時間を掛けて家を出る。
この道を通って通うことも今日が最後だと思うとやっぱり惜しい。
鞄に入れた辞表がやけに重く感じて、足が震えてる気がした。
会社に入ると、いつも優しくしてくれた受付のお姉さんも顔見知りになったスタッフのおじ様も皆いつも通り挨拶をしてくれる。
上手く笑って返せてるかな。
今にも涙が溢れそうになる度に、私はまだまだ泣き虫なんだと自覚する。
何とか辿り着いたいかにも社長室！って感じの重厚感溢れるドアの前に立つと足の震えが10倍くらい増した。
行け、怯むな私！頑張れ私！勝つんだ私！コンコンコンとしっかり3回ノックする。気合を入れて、さぁ一言目。
『失礼しまふ！』
噛んだ
「どうぞ。どちら様かな？」
『あ、あの私半年前に契約させていただきましたスアオンニ…じゃなくてスアさんの助っ人のペク・Aであります！本日は大事なお話がありましてお伺いさせていただきました！』
「はは、ペクさんだね。勿論覚えてるよ。そんなに畏まらなくても誰も取って食おうなんて考えてないからリラックスしてね」
代表さんはそう言って私にソファに腰掛けるように勧めた。恐る恐る高そうなソファに座ると、身体ごと沈むような感覚がした。
「今日はどうしたんだい？」
『…えっと…私の契約は半年だったので今日はこれを出しに来ました』
カバンから取り出した辞表を見て、代表さんはほんの一瞬目を見開いた後考えるように右手を顎に添えた。
広い机に虚しく置かれる自分の字で書かれた辞表の封筒はやっぱり無機質で、この1枚の紙切れだけで私のここでの役割は終わるんだと思ったらやっぱり悲しかった。
「勿論前の担当の子も戻って来るけど、てっきり僕はスアが“君が必要だ”って言いに来ると思ったんだけどな」
『オンニは優しいので私の居場所を作ってくれるんです。でも沢山ここで経験をさせていただいて、私もそろそろ自分で頑張る時だなって感じました』
「皆には言った？」
『バタバタしてたので言いそびれちゃって…でも元々私はただの助っ人だし、この半年間がイレギュラーだっただけで来週からは元に戻るだけなので…皆さんもきっと肩の荷が降りると思います』
自分で言ってて悔しくなる。
もっと私がデキる人間なら堂々とここに残れたんだろうか。
器用で仕事も早い人だったらここで働けたんだろうか。
誰かに必要として貰えたんだろうか。
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よん(プロフ) - 素敵な作品で一気に読んでしまいました！更新楽しみにしています！！ (4月2日 18時) (
レス) @page34 id: 17dcf2bc33 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 更新楽しみにしてます！！ (12月2日 0時) (レス) @page34 id: 70f217a4be (このIDを非表示/違反報告)
犬飼いたい(プロフ) - 更新ぜひ..！！よろしくお願いします！！ (8月8日 0時) (レス) @page34 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きが気になりすぎます！！更新楽しみにしてます (7月27日 21時) (レス) @page34 id: 697dde3f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 一気見してもうハラハラして次が待てませんんんん！うそです、無理しないでゆっくりでいいので更新待ってます！ (7月2日 4時) (レス) @page34 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2022年9月24日 20時
