79 ページ30
SC side
もしかして俺が泣かせちゃったかな…あ、でも確かに無理やり頬を鷲掴みしたのはよくなかった。
SC「ごめん嫌だったよね!?ホントにごめんなさい!」
『違うんです。嫌だからじゃなくて…いや喜んでたわけでもないんですけども』
SC「落ち着いて大丈夫大丈夫」
初めて見るAちゃんの涙にほんの少し心臓が掴まれたような、そんな感覚があった。
いつもは飄々としていると言うか、自分を貫いている彼女が小さく見えてその姿が酷く弱々しく見えた。
SC「落ち着いた?」
『…みっともないとこ見せてしまってすみませんでした』
全然泣き止まないAちゃんを自販機の横のベンチに座らせ、2人で飲み物を飲みながら特に喋らずに時間を過ごした。
SC「ううん、大丈夫。それより何か悩みとかあったら俺で良ければ聞くよ」
『……風邪引いてた時に誰にも会わなかったからか少しナーバスになってただけなので大丈夫です。むしろ泣けたのでスッキリしました。ありがとうございます』
少し口を噤んだAちゃんは、一瞬迷ったようだったけど結局いつものように隙を見せてはくれなかった。
半年間彼女は俺たちに隙を見せるどころか、笑顔もあまり見せてくれた事は無いなぁとふと考える。
SC「そっか、無理には聞かないけど1人で抱え切れなくなったりしたらちゃんと言うんだよ。俺じゃなくてもスアヌナでも誰でもいいからさ」
『はい。あ、ジュースありがとうございました。美味しかったです』
隙は見せてくれないのに、こうしたちょっとしたお礼や一言はいつもしっかり言うAちゃんに憧れる部分がある。
弟達にはジュース奢っても「ヒョンの奢りだー!イェーイ!」と騒いでるのを傍観してるからか、こうして改めてお礼を言われると嬉しい半面照れてしまう自分が居ることに驚いた。
SC「じゃ、気をつけて帰ってね。次会うのは来週の撮影だね。またね」
『………あ、そっか…そうですね……ありがとうございました』
何とも言えない顔をする彼女に再び声を掛けようと思ったけど、スマホに届いたウジからの「確認したい部分あるから来て。今代表も来てるしなるべく急いで」というメッセージがあったから何も聞かなかった。
後にコレで自分が後悔する事を知ってたら、やっぱり俺は必死になってAちゃんを呼び止めたのかな?と思うと、ほんの少しやるせない。
3930人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よん(プロフ) - 素敵な作品で一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています!! (4月2日 18時) (レス) @page34 id: 17dcf2bc33 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 更新楽しみにしてます!! (12月2日 0時) (レス) @page34 id: 70f217a4be (このIDを非表示/違反報告)
犬飼いたい(プロフ) - 更新ぜひ..!!よろしくお願いします!! (8月8日 0時) (レス) @page34 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きが気になりすぎます!!更新楽しみにしてます (7月27日 21時) (レス) @page34 id: 697dde3f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 一気見してもうハラハラして次が待てませんんんん!うそです、無理しないでゆっくりでいいので更新待ってます! (7月2日 4時) (レス) @page34 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すい | 作者ホームページ:http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時:2022年9月24日 20時