75 ページ26
JS side
JS「昔の自分と重ねてしまったって…」
『あの時、私1人で苦しくなってたんです。だから昔自分とジョシュアさんを重ねてしまって…昔の私とジョシュアさんが違うことくらい分かってたはずなんですけどね』
そう言って笑う彼女は今まで見たことないくらい弱々しかった。
消えてしまいそうなくらい、儚さを帯びて微笑むAちゃんの手を無意識に掴んでしまうけど、そんな事どうでもいい。
消えてしまいそうで怖かったんだ。
『アイドルはファンの方に心配をかけないように笑わなきゃいけないし、辛い時こそ笑うって人もいることは分かってます。でも、ほんの少しでも泣きたいって思った時は泣いて欲しいです。偶にでいいので自分の感情に正直になってください』
その瞬間、最後の砦が壊された不安感とやっと誰かに言って貰えた安心感から次々と目から涙が溢れた。
頬を伝う涙は、先程打ってきた雨とは違って温かい気がした。
JS「僕一応ジェントルマンなんだけど」
『ジェントルマンの人は泣かないなんてルールありませんよ』
JS「あーあ、止まんなくなっちゃった」
情けなく泣き続ける僕をAちゃんは見ないようにしてくれた。その気遣いもなんだか新鮮で擽ったくて変な気分だ。
JS「…ドギョムに酷いこと言っちゃった。嫌われたかな」
『大丈夫ですよ。ドギョムさん何故か謝らなきゃってオロオロしてましたし』
JS「撮影も抜けて来ちゃったし怒られちゃうなぁ」
『12人もいるんですからそんな早く終わらないですし大丈夫ですよ…多分。まぁダメでも一緒に謝ります。珈琲入れた私にも0.001%くらいは非はありますし』
ほんとに極わずかな分だけの非を認めるAちゃんが面白くて口角が上がるのに、目はまだ泣いてるから変な顔になってるだろうなぁ…
床に座るAちゃんの隣に腰を下ろして少し低い位置にある肩に頭を預けると一気に安堵が込み上げた。
『雨止まないですし迎え呼んだ方が良さそうですね』
JS「……そうだね」
『でももう少しゆっくりしてから呼びましょうか』
僕の気持ちを汲み取ってそう言うAちゃんも、僕からすればスアヌナのように気が利くと思う。
グリグリとAちゃんの肩におでこを擦り付けると、『ファンに殺されるんでやめてください』と一蹴するその姿もなんだか面白くて、固く閉ざしていた本当の気持ちが零れるように漏れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よん(プロフ) - 素敵な作品で一気に読んでしまいました！更新楽しみにしています！！ (4月2日 18時) (
レス) @page34 id: 17dcf2bc33 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 更新楽しみにしてます！！ (12月2日 0時) (レス) @page34 id: 70f217a4be (このIDを非表示/違反報告)
犬飼いたい(プロフ) - 更新ぜひ..！！よろしくお願いします！！ (8月8日 0時) (レス) @page34 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きが気になりすぎます！！更新楽しみにしてます (7月27日 21時) (レス) @page34 id: 697dde3f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 一気見してもうハラハラして次が待てませんんんん！うそです、無理しないでゆっくりでいいので更新待ってます！ (7月2日 4時) (レス) @page34 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2022年9月24日 20時
