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JS side
渦巻く黒い感情に呑まれそうになる。
ひた隠しに生きてきた“それ”が日の目を浴びるように剥がされていく。そんな感覚がした。
だから僕は君のことが嫌いなんだよ、Aちゃん。
HS「シュアヒョーン!夕飯食べに行かない?」
JS「いいね、行こっか」
HS「じゃあ先に下で待ってるねー!」
練習室の中で1人、大きな鏡に映る自分。
周りには誰もいない。鏡の中の僕も鏡を見てる僕も1人。
SEVENTEENのジョシュアじゃなくてただのジョシュアになった瞬間、孤独な自分が酷く滑稽に見えた。
また独りだ。
鏡の中の自分が涙を流す。
結局僕はまだ弱いままだし、こうしてダサい部分を隠さないと自分を保てない。必死に作り上げてきた最後の砦を壊されるのではないかと焦っている僕は、マヌケな顔で目を泳がせていた。
WZ「あ、ヒョンここに黒のタオル落ちてなかった?」
突然扉が開いて入って来たのはウジだった。
JS「黒のタオルは見てないけど…」
WZ「そっか、ありがと」
短くそう告げるとウジはすぐに練習室を出て行った。
そんなに大事なタオルなのかな。貰い物とか?
ふわふわと考えながら帰りの準備をしていると、また勢い良く開かれる扉。
『ウジさんいますか?』
JS「…いないけど…何か用?」
『タオル忘れて行ったので…これ渡しといてもらえませんか?』
僕に押し付けるように黒いタオルを渡すAちゃんは、ジワジワと黒い感情が込み上げる僕とは裏腹に特に何も考えてなさそうだった。
それもまた何か僕の気に触ってしまう。
本当に何なんだ、この感情。どうしてこの子にだけ…
JS「…うん」
『じゃ、私はこれで』
JS「あのさ」
君を見てると無性に自分が恥ずかしくなる。
弱い僕と対照的に強く自分を持ち続けて、周りに人が絶えない君を見ると羨望とはまた違う気持ちが奥底に湧いてしまう。
『はい?』
JS「アイドルは辛い時も笑わなきゃいけないって職業だから僕はこの生き方を変えるつもりも無いし、間違ってるとも思ってないから」
僕の言葉に一瞬目を丸くした彼女は、ほんの少し考えるように宙を見た後じっと僕の目を見つめた。
その目がなんとなく品定めをされてるようで嫌だった。
『言い方が悪かったですね。私は別にジョシュアさんの笑顔を否定してるんじゃなくて昔の自分に重ねてしまっただけです。嫌な思いさせてごめんなさい』
少し彼女の笑顔がいつもと違うのは気の所為だろうか
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よん(プロフ) - 素敵な作品で一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています!! (4月2日 18時) (レス) @page34 id: 17dcf2bc33 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 更新楽しみにしてます!! (12月2日 0時) (レス) @page34 id: 70f217a4be (このIDを非表示/違反報告)
犬飼いたい(プロフ) - 更新ぜひ..!!よろしくお願いします!! (8月8日 0時) (レス) @page34 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きが気になりすぎます!!更新楽しみにしてます (7月27日 21時) (レス) @page34 id: 697dde3f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 一気見してもうハラハラして次が待てませんんんん!うそです、無理しないでゆっくりでいいので更新待ってます! (7月2日 4時) (レス) @page34 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すい | 作者ホームページ:http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時:2022年9月24日 20時